「フランチャイズって、結局儲かるんですか?」
開業相談でいちばん多い質問です。そして「フランチャイズ 儲からない」と検索したことがある方も、きっと多いと思います。
答えを先に言うと、儲かるFCも儲からないFCもある、です。当たり前に聞こえますが、大事なのはその先。両者を分けているのは運や才能ではなく、「売上100万円のうち、いくらが自分の手元に残る契約なのか」という数字の構造です。
この記事では、開業ジャパンに掲載しているブランドの実際の数字を使って、売上が手元のお金になるまでを一段ずつ分解していきます。数字が読めるようになれば、「儲かるかどうか」は感覚ではなく計算で判断できるようになります。
フランチャイズが「儲かる」「儲からない」を分けるのは内訳
フランチャイズ(FC)とは、本部のブランド名・商品・ノウハウを借りて商売をする仕組みです。看板とやり方を借りる代わりに、加盟金(最初に払う契約料)とロイヤリティ(毎月本部に払う利用料)を支払います。
ここで多くの人がつまずくのが、「月商(月の売上)」と「手取り(自分の生活費にできるお金)」はまったく別物だということ。
月商300万円のお店より、月商130万円のお店のほうが手取りが多い、ということは普通に起こります。売上の大きさではなく、売上から何がいくら引かれるかで決まるからです。
売上が手元に残るまで、お金は5つの関門を通る
売上が自分の財布に入るまでには、次の順番でお金が引かれていきます。
| 順番 | 引かれるもの | 内容 |
|---|---|---|
| ① | ロイヤリティ・広告分担金 | 本部へ毎月払うお金。売上の◯%か、月額◯万円の定額 |
| ② | 変動費 | 売上に比例して増える費用。材料費・仕入れ・消耗品など |
| ③ | 固定費 | 売上に関係なく毎月出ていくお金。家賃・光熱費・通信費・リース料 |
| ④ | 人件費 | スタッフの給料。オーナー1人で回すなら、ここはゼロ |
| ⑤ | 税金・借入返済 | 利益が出たあとに払う。ここを忘れる人がいちばん多い |
とくに注意したいのが⑤です。借入金の返済は「経費」ではありません。 帳簿上の利益が出ていても、その利益の中から返済していくため、「黒字なのに手元に現金がない」という状態が起こります。
そして固定費(③)が重い業態ほど、売上が少し落ちただけで赤字に転落します。逆に固定費が軽い業態は、売上が伸びなくても生き残れます。この差が「儲かるFC/儲からないFC」の正体です。
実データ①:無店舗型は「引かれるもの」が少ない
具体例として、開業ジャパン掲載のお掃除のえる(株式会社ノエルが展開する、お庭まわりのお掃除フランチャイズ)のモデル収支を見てみます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 月商(オーナー1名稼働) | 132万円 |
| ロイヤリティ(売上の25%) | ▲33万円 |
| 広告分担金 | ▲10万円 |
| その他経費(差引) | ▲約7万円 |
| オーナー手取り | 約82万円(利益率62%) |
ロイヤリティ25%は、数字だけ見ると高く感じます。それでも手取りが売上の62%残る理由は、引かれる項目そのものが少ないからです。
- 店舗も事務所も不要 → 家賃・光熱費がゼロ。自宅と車を拠点に開業する
- 仕入れがほぼ不要 → 変動費が小さい
- オーナー1人で稼働 → 人件費ゼロ
一方で開業条件はこうなっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 初期費用 | 105万円〜 |
| 加盟金 | 30万円〜(キャンペーン適用時/通常200万円) |
| ロイヤリティ | 売上の25% |
| 開業までの期間 | 最短1〜2ヶ月 |
| 商圏 | 全国(半径10kmの独占商圏・1エリア1店舗) |
「ロイヤリティが安いFCほど得」と思われがちですが、そう単純ではありません。このブランドの場合、月10万円の広告分担金でチラシのエリア配布・YouTube・SNS・WEB広告を、全国50店舗を運営する本部が代行します。自分で集客を全部やる=タダではなく、時間という費用を払っているということです。
さらに、お掃除で訪問した先の外構リフォームなどを本部の外構FC網へ紹介すると、紹介料が5〜20万円。2万円の掃除案件が、紹介を通じて桁違いの売上につながる設計になっています。こうした**「1人のお客様から複数の売上をつくる仕組み」があるかどうか**は、収支表の数字以上に効いてきます。

実データ②:店舗型は「回収に何ヶ月かかるか」で見る
次は店舗を構えるタイプ。プライベート洗車BOX(完全個室・完全予約制のセルフ洗車場)の数字です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 初期費用 | 約607万円(加盟金・研修費・内装15坪・備品・物件取得費込み) |
| 加盟金 | 50万円(開業3ヶ月分の広告費15万円+広告運用代行手数料を含む) |
| ロイヤリティ | 売上の10%(別途システム利用料 月5万円) |
| 本部モデルの月利益 | 月26.8万円〜(1年目12ヶ月目) |
| 黒字化の目安 | 約5ヶ月 |
| 投資回収の目安 | 24ヶ月 |
ロイヤリティは10%と、先ほどの25%より大幅に低い。それでも月の手取りは26.8万円と小さくなります。家賃・内装・設備という固定費を背負っているからです。
ここで見るべきは月の利益より投資回収期間、つまり「最初に払った607万円を、何ヶ月の利益で取り返せるか」です。
607万円 ÷ 月26.8万円 ≒ 約23ヶ月
本部が示す「24ヶ月」とおおむね一致します。自分で割り算して本部の説明と合うかを確かめる。これは加盟前に誰でもできる、いちばん効く検算です。
なお同ブランドの直営店の実績は、須磨・長田店で月商60万円、東灘店45万円、兵庫・神戸店35万円(3店舗合計で約140万円)。同じブランドでも店舗によって倍近い差が出ることが数字に出ています。「モデル収支の1店舗分」だけを見て判断してはいけない理由がここにあります。
ロイヤリティは「率の高さ」より「方式」で手取りが変わる
ロイヤリティには大きく2つの方式があります。掲載ブランドを並べると違いがはっきりします。
| ブランド | ロイヤリティ | 方式 |
|---|---|---|
| お掃除のえる | 売上の25% | 売上比例 |
| プライベート洗車BOX | 売上の10%+システム利用料 月5万円 | 売上比例+定額 |
| バク転パーソナル教室 | Aプラン:月8万円(定額)/Bプラン:売上の12% | 選択制 |
| ブランドインパクト | 月額固定 5万円(売上連動なし) | 定額 |
| Dr.Reset | 月5万円(定額) | 定額 |
| ecxia | 機材1台あたり月55,000円(定額・売上歩合なし) | 定額 |
違いは、売上が落ちた月に出ます。
- 売上比例型:売上が半分になれば、本部への支払いも半分。悪い月のダメージが小さい
- 定額型:売上が伸びるほど手取り率が上がる。ただし売上が落ちても支払額は変わらない
たとえばブランドインパクトは、加盟金30万円・初期費用30万円〜(店舗・オフィス費不要)で、本部モデルでは月商100万円のとき純利益約59.5万円、月商200万円で約124.5万円(仕入原価約35%・ロイヤリティ・EC出店費を控除、オーナー運営で人件費0の前提)。売上が2倍になると利益は2倍以上に伸びます。これが定額型の効き方です。
自分が「売上が読みにくい業態」に入るなら比例型、「伸ばす自信がある業態」なら定額型。この視点で契約書を読むと、判断がぶれません。
「儲からない」と言われるFCに共通する4つのパターン
相談を受けていて、うまくいかない例には共通点があります。
- モデル収支の前提を読んでいない 「手取り82万円」は”オーナー1名稼働”が前提です。人を雇えばそのぶん人件費が引かれます。前提条件が変われば結果も変わります。
- 初期費用に運転資金を入れていない 開業してすぐ満額の売上が立つことはまずありません。黒字化まで約5ヶ月かかるなら、その5ヶ月分の生活費と支払いを別に用意しておく必要があります。
- 借入返済を計算に入れていない 利益26.8万円でも、毎月15万円返済していれば手元に残るのは約11万円です。
- 商圏の条件を確認していない 同じブランドでも、独占商圏(1エリア1店舗)が保証されているかどうかで、数年後の売上はまったく変わります。
契約前に本部へ必ず聞く5項目
数字の裏づけを取るために、説明会や面談でこれだけは確認してください。
| 確認項目 | 具体的に聞くこと |
|---|---|
| ① 収支モデルの前提 | 何名稼働・何年目・どの立地の想定か |
| ② 実店舗の実績 | モデルではなく、既存店の実際の月商レンジ(いちばん低い店も) |
| ③ 費用の全額 | ロイヤリティ以外に毎月出ていくお金(広告分担金・システム料など)は何がいくらか |
| ④ 商圏の保証 | 近くに別の加盟店が出る可能性はあるか。文書に残るか |
| ⑤ 撤退の条件 | 途中解約したときの違約金・原状回復費はいくらか |
⑤は聞きづらい質問ですが、ここに誠実に答えてくれる本部かどうかが、その後の付き合いを決めます。
まとめ:儲かるかどうかは「引き算」で判断できる
- 見るべきは月商ではなく、売上−(ロイヤリティ+変動費+固定費+人件費+税金・返済)
- 無店舗型は固定費が軽く手取り率が高いが、自分が動いた分しか売上にならない
- 店舗型は投資回収期間で判断する。初期費用 ÷ 月利益 を自分で計算して本部の説明と照合する
- ロイヤリティは率の高低より**方式(比例か定額か)**が自分の業態に合っているかを見る
- モデル収支は必ず前提条件とセットで読む
数字の構造さえ分かれば、「儲かりそう」ではなく「自分の場合はこうなる」と言えるようになります。
なお、本記事の金額はいずれも各本部が公表するモデル値・実績値であり、収益を保証するものではありません。時期やキャンペーンにより変動するため、最新情報は各本部の公式サイト・説明会で必ずご確認ください。
出典: 開業ジャパン掲載ブランドデータ(お掃除のえる/プライベート洗車BOX/バク転パーソナル教室/ブランドインパクト/Dr.Reset/ecxia・各本部公表値、2026年8月時点)
自分の資金と働き方で、どのタイプの収支になりそうか。まずは各ブランドの初期費用とロイヤリティ方式を並べて見比べてみてください。
👉 フランチャイズ一覧 で、初期費用・ロイヤリティ・モデル収支を確認する
気になるブランドが見つかったら、説明会や無料相談で上の「5項目」をそのまま質問してみてください。答え方そのものが、いちばんの判断材料になります。
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