フランチャイズ

ペット系フランチャイズの元店長が語った現場のリアル|「3ヶ月で250万円」と実際の売上のあいだにあったもの

2026/9/20 更新

ペット系フランチャイズの元店長が語った現場のリアル|「3ヶ月で250万円」と実際の売上のあいだにあったもの

「加盟すれば本部が助けてくれる」——フランチャイズ(FC)を検討する人の多くが、そう期待して契約書にサインします。

YouTubeチャンネル「オグモーのフランチャイズを学ぼう」では、視聴者からの相談をきっかけに、ペット関連のフランチャイズ店舗で店長を務めていたAさんへの取材動画が公開されています。動画の中で銘柄(ブランド名)は明かされていません。あくまで「ある一店舗で起きたこと」として、開業を考える人が何を確認すべきかを考える材料にしてください。

「大きなお店なら技術も上がる」と思って入った

Aさんは以前からトリミング(犬の毛のカットやシャンプー)やペットの世話を経験していた人です。ペットサロンはホームセンターの一角や個人店が多い中、「大きなお店で働けば自分のスキルも上がるのではないか」と考えて、そのFC店舗を選んだと動画では語られています。

入る前に違和感はほとんどなかったそうです。「何かあってもマニュアルがあるから、そこを見れば全部出てくる」と説明を受けていたといいます。

大きな店舗なら技術が上がると考えて加盟先を選んだ理由を話す様子
ペットサロンは個人店が多い中、「大きなお店なら技術も上がる」と考えたのが入店の決め手だった(1:19〜この場面を動画で見る)

本部の説明と、現場の数字のズレ

動画の中でAさんが挙げたのが、売上に関する説明と実際の差です。

項目本部からの説明Aさんが語る実際
売上3ヶ月で250万円、3ヶ月で元が取れる100万円には届かなかった
研修お金を払えばスタッフ研修をする紙に箇条書きされた内容を話す程度
集客本部がサポート予約媒体への掲載が中心
求人—最初の1ヶ月だけ無料媒体に掲載

「3ヶ月で250万円稼いだ店のデータを見せてくれたら、こちらも分かったんですけどね」——実際に達成している店舗の数字や、その稼ぎ方の共有はなかったと動画では語られています。

本部が示した売上目標と実際の売上額の差を語る元店長の場面
「2ヶ月で売上50万円行きます」——実際は100万円に絶対届かなかった、と語る冒頭シーン(0:09〜この場面を動画で見る)

研修は受けた。でも現場では使えなかった

オーナーは「スタッフ研修をしてもらえる」と聞いていたそうです。ところが働き始めたスタッフが「ここが分からない」と質問すると、オーナー自身が「あれ、研修しなかったの?」と不思議そうな顔をしていた、という食い違いが起きていました。

Aさんによれば、実店舗での研修で教わったのは電話対応と顧客データの管理方法。肝心の技術面は「何もせずほったらかしにされていたのが一番しんどかった」と振り返られています。

本部研修の中身が紙の箇条書きだけだったと証言する場面
本部研修は紙に箇条書きされた内容を話すだけ。店舗研修も電話とデータ管理の方法のみだった(2:41〜この場面を動画で見る)

集客も採用も、結局は加盟店まかせ

集客については、予約サイト(人間でいうホットペッパービューティーのようなもの)に掲載料を払い、そこからお客さんが予約してくる形が中心だったといいます。チラシはデザインデータは送られてくるものの、印刷や配布は加盟店の自腹。「固定費を考えるとひどいことになる」というのが現場の実感でした。

求人も同じで、最初の1ヶ月だけ本部が無料媒体に出し、その後は「自分でやってください」。トリミングは立ちっぱなしで体力的にきつく、給料が上がりにくいため人が定着しにくい仕事だとAさんは説明します。だからこそ「明らかに給料が高い」と目に見えないと応募が来ない。それを加盟店が一人で背負う構図でした。

本部の求人支援が最初の1ヶ月だけだったと説明する場面
求人支援は最初の1ヶ月、無料媒体のみ。以降は「自分でやってください」と丸投げされた(5:47〜この場面を動画で見る)

1年半で、本部からの電話は1回だけ

印象的なのが本部とのやりとりです。Aさんが勤めた1年半のあいだ、本部からかかってきた電話は1回。内容は「今、何人が店で働いていますか」という人数の集計だったといいます。

逆にAさんから相談した回数は何度もありました。預かっている犬の体調が悪くなったときに電話をしても、すぐにはつながらず、時間差でかかってくる。待っていられないので自分たちで判断して動くしかなかった、と動画では語られています。

売上が伸びないことを相談したときには「売上が立たないのはあなたのせい」という趣旨の反応が返ってきたとも。店舗数を増やすことと既存店を支えることの比率を聞かれたAさんは、「店舗を増やすほうが10」と答えています。

1年半の勤務で本部からの連絡が1回だけだったと語る場面
1年半で本部からの電話は1回きり。用件は「今何人勤務していますか」という統計調査だけだった(8:33〜この場面を動画で見る)

店長だから見えてしまったこと

Aさんが最も強く語っていたのは、売上以前の話でした。

  • 1人で1日3〜5頭をカットするよう求められた(業界でいう「スピードトリミング」)
  • 急ぐほど犬にケガをさせるリスクが上がり、飼い主の要望にも十分応えきれない
  • 本部にカットができる人が見当たらず、指導に来る人も技術を持っていないように感じた
  • 預かっている犬が暴れないよう、部屋の中でリードにつながれていた場面に遭遇した

最後の点について、Aさんは「自分が知っている範囲では初めて見た」と話しています。「売上が立たないとかそれ以前に、自分の家の犬はとても預けられない」という言葉が、この取材の重さを表しています。

半年間は休みなく朝から晩まで店にいて、給料は20万円に届かなかった。退職を決めた理由は「人間らしい生活がしたかったから」でした。

店長でありながら月給20万円未満だったと明かす場面
「給料は20万円もらえてなかった」——店長として半年間、朝から晩まで休みなしの生活だった(3:52〜この場面を動画で見る)

「FCがすべて悪い」という話ではない

動画の最後で、運営者のオグモーさんは明確に補足しています。ペット業界のすべてが問題なのではなく、献身的に働く人もいるし、FC加盟店にも良い店舗・良いオーナーはたくさんいる、と。

オグモーさん自身は住宅系FC本部で加盟開発や研修講師、SV(スーパーバイザー)を経験しており、そこでは「2:6:2くらい」——上位2割が好調、6割が普通、下位2割が苦戦、という肌感覚だったと語られています。本部側の事情が分からなくもない一方で、今回のケースは「かなりひどい」という受け止めでした。

業界すべてが悪いわけではないと補足する取材者の場面
「業界すべてが闇だと言っているわけではない」——良い本部もオーナーもいる、と取材者が補足する(12:04〜この場面を動画で見る)

加盟する前に、自分の足で確かめる

Aさんが最も伝えたいこととして挙げたのは、とてもシンプルでした。

加盟したいと思っているなら、本当にそこがいい会社なのか、自分の目で見たり調べたりしてから決めてほしい。

説明会の資料や本部の話だけで判断しない。実際の店舗に客として行ってみる。可能なら既存加盟店のオーナーや現場スタッフに話を聞く。「達成している店の数字を見せてほしい」と頼んでみて、その反応を見る。動画で語られた失敗は、どれも契約前の一手間で気づける可能性があったことばかりです。

どの業種が自分の経験や生活スタイルに合うのか、まずは方向性から整理したい方は、開業診断で条件を入力するところから始めてみてください。


この記事のもとになった動画

続きや詳しい話は元動画でご覧ください: YouTubeで動画を見る

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