「加盟金を払ったのに、そのお金が加盟店のために使われていなかった」——FC(フランチャイズ)に加盟する人がいちばん恐れる展開です。
YouTubeチャンネル「オグモーのフランチャイズを学ぼう」に、株式会社FDCの船越さん(33歳)が登場しました。本業は店舗の内装工事で、グループ全体の年商は約7億円。そこにFC事業を重ねて、来月オープン分を含めて6店舗を運営しています。
その船越さんが、加盟してうまくいった話だけでなく、合計で500万円規模の損失を出したFCについても率直に語っています。初心者が本部を選ぶときに何を見るべきか、動画の内容を整理しました。
「本部の社長がお金を使ってしまっていた」FCの話
動画の中で、船越さんが「このFCはやばかった」と振り返るブランドがあります。ブランド名は動画でも明言されていませんが、こんな内容でした。
- 加盟金が500万円と、かなり高い水準だった
- その加盟金が、加盟店の支援ではなく本部側で私的に使われていたらしい(高級バッグ、旅行など)
- 「あの本部は危ない」という噂は、加盟前から業界内に流れていた
船越さんは「噂は回っていたけど、気づかずに加盟してしまった」と話しています。ここで大事なのは、本部を一方的に責める話として聞かないことです。船越さんは繰り返し「加盟を決めたのは自分だから、全部自分の責任」と言っています。
加盟金500万円は「それだけ本部に資金がない」というサインでもあった——動画ではそう振り返られています。
高い加盟金そのものが悪いわけではありません。問題は「その加盟金が何に使われるのか」が見えていなかったことです。
一気に4ブランドへ加盟して「爆死」した話
もうひとつ動画で印象的なのが、加盟のタイミングです。
コロナ禍の融資で手元に現金が約8000万円あった時期、船越さんは複数のFCにほぼ同時に加盟しました。
| ブランド | 内容 | その後 |
|---|---|---|
| ロレインブロー(まつげ・眉) | 2店舗 | 継続中。高松店は口コミ212件でエリア最多 |
| ラピラティス(ピラティス) | 月商350〜400万円規模 | 継続中 |
| インディバ系ブランド | 横浜で出店。機械が高額 | 店長へ譲渡 |
| アマゾネス(ジム) | 本部運営型のFC | 3年かけてようやく収支ギリギリ |
合計で6000万円ほどを一気に投資した結果、その年の決算は大幅な赤字になったと語られています。理由はシンプルで、「店舗は一気に売上が立たない」からです。開業にかかるお金は先に出て、売上はあとからついてくる。そのズレを4ブランド同時に抱えてしまった形です。
船越さんはこの時期を「爆死」と表現しています。
本業が利益500万円なら、500万円の投資はやめたほうがいい
動画の中でいちばん実用的だったのが、投資額の目安についての話です。
「利益500万円の会社が500万円を突っ込むのは、絶対にやめたほうがいい」
理由は2つ挙げられています。
- 本業が死ぬ可能性がある — 失敗したら手元資金がゼロになる
- 本業の利益そのものが下がる — 新規事業に時間と人を取られ、500万円あった利益が300〜400万円に落ちることすらある
つまり、見るべきは「出せるかどうか」ではなく「失っても本業が回るかどうか」。これは本業を持ちながら副業的にFCを検討している人に、そのまま当てはまる考え方です。
うまくいっている店舗は何が違うのか
ロレインブロー2店舗は、調子がいい時期には2店舗合計で月商550万円ほどまで伸びたそうです。では何が効いたのか。
船越さんの答えは、意外なほど地味でした。
- 口コミをちゃんと集めているか
- ブログをちゃんと書いているか
- その数字を追いかけているか
高松店の口コミは212件。「高松で100件を超えている店はほとんどない」ため、地域内では圧倒的だったと語られています。そして口コミが100件を超えたあたりから、新規客が自然に入るようになったとのこと。
「競合はあんまり関係ない。店舗事業は基本的に数字を追いかけているかどうかが直結する」
地方では、こうした基本の作業をきちんと続けている店が少ない。だからこそ、派手な手法よりも継続が効く、という話です。
一番苦しんだのは集客ではなく「採用」
意外にも、船越さんが苦労したのは集客ではなく採用とマネジメントでした。
**ロレインブローの現状は月マイナス50万円。**理由は1人増員したことによる人件費と採用コストです。まつげ・眉のサロンは美容師免許を持つ人しか採用できないため、採用のハードルが高く、経験者を1人採るのに相応の採用媒体費がかかったと語られています。
さらに、本人が「スタッフのマネジメントがめちゃくちゃ苦手だった」と振り返ります。
元々は建設業だけをやってきたため、採用基準が建設業の感覚のまま下がっていた。「履歴書をちゃんと書いてくるだけでいい子だと思って採ってしまった」結果、店舗が荒れた時期があったそうです。
今は対策を変えています。
- オーナー本人ではなく、店舗スタッフとマネージャーが面接する
- 理由:選ぶ責任をその場に置くため。オーナーが選ぶと「変な人を入れてきた」と本部やオーナーへの信用問題になってしまう
これは3年目になってようやく辿り着いた形だと語られています。
「本部運営型のFC」が合わない人もいる
アマゾネス(ジム)は、本部がほぼ運営まで担うタイプのFCでした。スタッフの雇用も本部側が持つ形です。
動画では、このタイプの特徴がこう整理されています。
| 本部運営型FC | |
|---|---|
| リスク | 少ない |
| メリット(リターン) | 少ない |
| スタッフとの関係 | オーナーはほぼ関われない |
船越さんは「誰が働いているかも知らない」状態だったそうです。
「割り切って投資だと思ってやれる人にはいいけど、人が好きな人はやめたほうがいい」
これは良し悪しではなく、自分の性格とFCのタイプが合っているかという話です。人と関わりたいタイプなのか、仕組みに任せて数字だけ見たいタイプなのか。加盟前に自分に確認しておく価値があります。
加盟前に聞くべきだった「たった一つの質問」
では、同じ失敗を避けるにはどうすればいいのか。船越さんが「今だったら聞く」と挙げた質問は、驚くほどシンプルでした。
「うまくいっていない店舗って、どんな感じですか?」
船越さんが加盟した当時、選んだブランドはどれも事例がまだ少ない段階でした。そういう状況では、成功事例ばかりを聞いても判断できない。失敗している店舗の様子と、そこに本部がどう関わっているかを聞くことで、本部の姿勢が見えてきます。
あわせて、本部を見るポイントとして挙げられていたのが次の点です。
- 加盟金やロイヤリティが、加盟店のために適切に使われているか
- 本部の社長に、ブランドへの理念があるか。そしてそれをやり切るか
- 「いい人のところには人が集まり、嫌な人のところには嫌な人が集まる」
特に加盟店が少ない初期フェーズでは、本部も販促に大きなお金をかけられません。だからこそ「最初は本部の社長の人柄がいちばん大事」だと語られています。
内装工事を安く済ませたい人へのアドバイス
本業が内装工事(年間100件以上を手がける)の船越さんから、開業時の内装についても具体的な話がありました。
- 予算だけで言えば、地元の安い職人を自分で集めるのが安い。ただし手間がかかるので、まとめて任せられる業者に頼むのが現実的
- 探し方は、先輩オーナーからの紹介が良い。5店舗やっている人が5回同じ業者に頼んで満足しているなら、その業者はレベルが高い証拠
- 住宅・リフォーム専門の業者と店舗工事は全く違う。店舗を何度もやっている業者でないと危ない
- 安すぎる業者は危険。利益が薄い業者にはアフター対応の余力がなく、不具合が出たときに動いてくれないことがある
「安い」の理由を確認せずに飛びつかない、という点は内装に限らず使える視点です。
まとめ:この動画から持ち帰れること
| 論点 | 動画で語られていたこと |
|---|---|
| 本部選び | 加盟金の使われ方と社長の理念を見る。噂も軽視しない |
| 投資額 | 失っても本業が回る額に抑える |
| 加盟の順番 | 一気に複数は危険。売上は後からついてくる |
| 聞くべき質問 | 「うまくいっていない店舗はどんな感じですか?」 |
| 本当の難所 | 集客より採用とマネジメント |
| タイプ選び | 自分の性格に合う運営形態を選ぶ |
船越さんは最後に、「FC業界に入っていなかったら、本業の伸ばし方も分からなかった」と話しています。実際、FC加盟をきっかけに同業のFC本部からの内装工事の仕事が増え、本業が伸びたそうです。失敗と学びの両方があって今がある、という内容でした。
初心者がまず避けたいのは、情報不足のまま大きな金額を動かすことです。自分の資金力・性格・本業の状況に合う業種やブランドはどこなのか——まずは開業診断で方向性を整理してから、具体的な本部に問い合わせてみてください。
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