ホテル運営大手のTKPがアパホテルとフランチャイズ契約を締結し、山形駅前に新施設を開業。大手チェーンのFC展開による地方への積極的な出店戦略を示しており、ホテル業界の加盟店募集動向を反映している。
出典: 日本経済新聞

開業ジャパン編集長より
編集長の視点
「フランチャイズ」と聞くと、個人がコンビニや飲食店に加盟する姿を思い浮かべる方が多いと思いますが、このニュースはその対極にある世界を見せてくれます。貸会議室事業で知られる大手のTKPが、アパホテルのブランドをフランチャイズ契約で借りて山形駅前にホテルを開く。つまり「企業が企業のブランドに加盟する」法人フランチャイズの事例です。個人の開業とは規模がまるで違いますが、ここには独立を考える読者にとっても学べる構造が2つ隠れています。
大企業ですら「看板を借りる」を選ぶ
1つ目は、「自前のブランドを育てるより、確立されたブランドを借りる方が速い」という判断を、資金力のある大企業ですらしているという事実です。TKPほどの会社なら自社ブランドのホテルを作る選択肢もあったはずです。それでもアパの看板を選んだのは、宿泊業では予約サイト上の知名度と会員基盤がそのまま稼働率に直結するからです。ゼロからブランドを認知させるコストと時間を買う。これはフランチャイズという仕組みの本質そのもので、個人がFCに加盟する時の損得勘定とまったく同じ構造です。加盟を迷っている方は「自力でこの集客力を作るのに何年かかるか」という物差しで考えてみると、ロイヤリティの意味が腹落ちしやすくなります。
この先、あと約1,500字
続きは無料会員限定です
メールアドレスだけで登録できます(約10秒)。この記事の続きはもちろん、他のFC・開業ニュースの「編集長の視点」もすべて読み放題になります。
会員登録して続きを読む →登録済みの方はログイン
地方駅前には商圏の空白がある
2つ目は、地方都市の駅前という立地選定です。都市部のホテル市場が飽和に向かう一方、地方の県庁所在地クラスの駅前は、出張需要と観光需要が安定して見込めるわりに競合の新規供給が限られています。大手が山形駅前を選んだという事実は、「地方には商圏の空白がまだある」ことの傍証です。これは宿泊業に限った話ではありません。飲食でも買取でもフィットネスでも、東京で飽和した業態が地方ではまだ一番手を取れる、というタイムラグは実際に存在します。地方在住の読者にとって、大手チェーンの地方出店ニュースは「自分の街の商圏がプロにどう評価されているか」を知る無料の情報源になります。自分の検討業態と同じ商圏を狙う大手の動きは、ぜひ定点観測してみてください。
大手の出店は無料の商圏調査結果
「商圏の空白」をもう少し実務的に言い換えると、こういうことです。全国チェーンの出店判断は、商圏人口、昼夜間人口の差、駅の乗降客数、周辺の宿泊・飲食の供給量といった数字の積み上げで行われます。個人がこれと同じデータを揃えるのは大変に思えますが、実は国勢調査や経済センサスなど、大手が使う統計の多くは無料で公開されています。違うのはデータではなく「読み方の訓練」だけです。自分が出店を考えている駅前に大手が入ってきたなら、それはその商圏が統計的に合格点だったという意味ですし、逆に大手チェーンが一つもない駅前は、賃料が安くても慎重になるべきサインかもしれません。競合の出店は脅威であると同時に、無料の商圏調査結果でもある。この両面で見る癖をつけてほしいのです。
1店舗目は2店舗目への足がかり
また、法人フランチャイズの世界では「複数店舗を持つ前提」で契約や資金計画が組まれる点も、個人と対照的です。1店舗目の損益だけで生活が決まる個人と違い、法人加盟は店舗間で利益とリスクを平準化できます。個人が今からこの発想を丸ごと真似ることはできませんが、「1店舗目は生活費を賭けた勝負ではなく、2店舗目への足がかり」と位置づけて資金計画に余力を残す考え方は、規模が小さくても輸入できます。初月から満額の生活費を店の利益に頼る計画は、それだけで脆いのです。
個人の加盟契約は交渉力が非対称
一方で、注意しておきたいこともあります。大手同士のFC契約が成立するのは、両者ともに撤退ルールや契約条件を対等に交渉できる法務体制を持っているからです。個人の加盟契約では、この交渉力の非対称が最大のリスクになります。本部が用意した契約書の中途解約条項や競業避止義務を、個人が対等にひっくり返すのは現実には困難です。だからこそ、契約書は署名の前に必ず第三者の目を通す。これは規模の大小に関係なく、フランチャイズという取引に共通する鉄則です。
編集長の結論: 出店の風下に商機あり
編集長としての所感を最後に。ホテル業は個人が今から参入する業態としてはハードルが高すぎますが、このニュースの読み方は「ホテルの話」ではなく「プロの資本がどこに張っているかの話」だと思っています。大手が地方駅前に張るなら、その周辺には宿泊者の朝食需要、夜の飲食需要、クリーニングや観光サービスの需要が同時に生まれます。大きな出店の風下には、個人サイズの商機が必ずいくつかぶら下がっている。ニュースをそういう目で読む習慣が、開業の解像度を確実に上げてくれます。今日から自分の街の出店ニュースを、テナント募集の看板を、通勤路の空き店舗を、「プロならここをどう評価するか」という目で眺めてみてください。開業準備は、物件を契約する日ではなく、街の見え方が変わった日から始まっています。商圏の読み方の基本は下の関連ガイドにまとめてあります。フランチャイズと個人開業のどちらが自分に向くか迷っている方は、比較記事も置いてありますので、判断の物差しづくりに使ってください。
※開業ジャパン編集部の見解です。加盟・投資のご判断はご自身の調査・専門家への相談とあわせて行ってください。
LINE友だち限定特典
非公開のビジネスプランと
未公開物件情報をお届け
サイトには載せられない非公開FC案件・優良物件・最新補助金情報を、LINE友だち限定で先行配信。登録は10秒、いつでも解除できます。
