栄光堂ホールディングス傘下の函館千秋庵総本家が、台湾最大手百貨店「新光三越」の日本商品展に2026年10月8日より初出店。国内ブランドの海外展開事例として、多地域展開を検討する開業者の参考になる。
出典: 全体

開業ジャパン編集長より
編集長の視点
函館の老舗和菓子店「千秋庵総本家」が、台湾最大手百貨店の日本商品展という形で海外に打って出る、というニュースです。栄光堂ホールディングスという国内企業の傘下ブランドが、常設店ではなく催事という形であれ海外の小売の場に商品を並べる。この一歩を、派手な話題としてではなく「国内ブランドがどうやって外に出ていくのか」という実例として読むと、独立開業や多店舗展開を考えている方にも得るものが多いニュースだと感じます。
なぜ百貨店の催事から始めるのか
海外進出というと、いきなり現地に店舗を構えるイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実際には今回のように「百貨店の催事・期間限定の物産展」から始めるケースが一般的です。常設の路面店を構えるには、現地の商習慣の理解、物流網の確保、現地法人の設立や許認可など、クリアすべきハードルが数多くあります。催事出店であれば、百貨店側がすでに持っている集客力と信頼を借りる形で、自社ブランドの反応をまず小さく試すことができます。これは海外進出に限った話ではなく、国内で新しい商圏に進出する際にも通じる発想で、いきなり路面店を構える前に、催事出店や間借り営業、ポップアップで反応を見るというのは、開業全般に共通する「小さく試す」王道の手法です。
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地方の老舗が全国・海外へ出る流れ
近年、地方の老舗食品メーカーや和菓子店が、百貨店の物産展や催事を足がかりに、東京・大阪といった大都市圏、さらには海外へと販路を広げる動きは珍しくありません。背景には、国内の人口減少による地元商圏だけでの成長の頭打ち感と、インバウンド需要の高まりによる「日本の地方ブランド」への評価の高まりがあります。台湾は親日的な消費者層が厚く、日本の食品・菓子類への信頼が高いことから、進出先として選ばれやすい市場のひとつとされています。ただし、これは一般論であり、すべての地方ブランドが同じように受け入れられるわけではない点には注意が必要です。
開業検討者にとってのチャンス
このニュースを、フランチャイズ加盟や多店舗展開を考えている方の視点で読み直すと、いくつか参考になる点があります。ひとつは、既存ブランドの「借り物の場所」で試してから本格展開するという順番の大切さです。資金力に限りのある個人開業者であっても、いきなり路面店や2号店を構える前に、催事出店、間借り、委託販売といった小さなリスクで反応を見る方法は応用できます。また、フランチャイズ本部を選ぶ際にも、「新しい商圏や客層に進出するときに本部がどんな支援やテストの枠組みを持っているか」は、本部の実力を見極める材料になります。地域展開や海外展開の実績がある本部は、商圏分析やマーケットリサーチのノウハウを蓄積している可能性が高く、加盟後の出店相談の質にも関わってきます。
見落としてはいけない注意点
一方で、華やかな海外進出のニュースだけを見て、多地域展開や新業態への挑戦を安易に美化しないことも大切です。催事出店は期間限定であり、継続的な売上につながるとは限りません。現地の物流コスト、為替変動、文化や嗜好の違いによる売れ行きの差など、国内の多店舗展開以上に不確実な要素が多く、投じた費用が回収できるかどうかは出店してみないと分からない部分も大きいのが実情です。個人で開業・加盟を検討する方にとっては、海外展開そのものより、むしろ「本部や自社がどれだけ小さな単位でテストを重ねてから投資を拡大しているか」という姿勢を見る材料として受け止めるのが現実的だと思います。派手な進出事例ほど、裏側にある撤退や苦戦の事例は表に出にくいということも、頭の片隅に置いておいてください。
編集長の結論: 小さく試す発想を自分の計画にも
今回のニュースそのものは、函館の一老舗ブランドが台湾の催事に出るという、規模としては大きくない話です。ですが「いきなり本格進出せず、既存の場を借りて小さく試す」という順序立ては、個人の開業やフランチャイズ加盟を考える方にとっても非常に実用的な考え方です。2号店、3号店、あるいは異なる商圏への進出を検討している方は、このニュースを「海外の華やかな成功事例」としてではなく、「自分の事業計画にどう段階を作るか」のヒントとして読んでいただけたらと思います。派手さに目を奪われず、裏にある準備とリスク管理の構造を想像する癖をつけること。それが、開業で遠回りをしないための一番の近道だと、編集長としては考えています。
※開業ジャパン編集部の見解です。加盟・投資のご判断はご自身の調査・専門家への相談とあわせて行ってください。
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