結論|コンビニのフランチャイズで手元に残るのは月0万〜45万円(編集部逆算)
先に数字から出します。コンビニのフランチャイズは、日商(1日の売上)がいくらになるかで、手取りがほとんど決まる業態です。チェーンをどこにするか、接客をどう工夫するかより、この一点の影響が圧倒的に大きい。
下の表は、本部が土地・建物を用意するタイプの契約で、夫婦2人がオーナーとして店に立つ、地方でよくある形を想定した試算です。
| 日商(1日の売上) | 月商 | 売上総利益 (粗利・30%で計算) | 本部へのチャージ (ロイヤリティ) | 加盟店の総収入 | 従業員の人件費 | 廃棄・棚卸ロス | 消耗品・雑費 | オーナー世帯に残る額 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 40万円 | 1,200万円 | 360万円 | ▲223万円 | 137万円 | ▲110万円 | ▲20万円 | ▲7万円 | 0万円 |
| 45万円 | 1,350万円 | 405万円 | ▲251万円 | 154万円 | ▲115万円 | ▲22万円 | ▲8万円 | 9万円 |
| 55万円 | 1,650万円 | 495万円 | ▲307万円 | 188万円 | ▲128万円 | ▲28万円 | ▲9万円 | 23万円 |
| 65万円 | 1,950万円 | 585万円 | ▲363万円 | 222万円 | ▲135万円 | ▲32万円 | ▲10万円 | 45万円 |
※すべて編集部が仮の条件を置いて計算したモデルです(編集部逆算)。粗利率30%・月30日・チャージは粗利の62%として計算しました。実在する特定チェーンの実績ではありません。 ※この「残る額」は、借入の返済前 / 税金を引く前 / オーナー夫婦2人分の人件費を含まない数字です。ここから2人分の生活費を出します。
いちばん見てほしいのは、日商40万円の行がほぼゼロになっていることです。売上が2割落ちても、24時間の店を開け続けるための人件費はほとんど下がりません。だから日商が2割減ると、手取りは2割減ではなく、消えます。
反対に日商65万円まで届けば、夫婦2人で月45万円(年540万円ほど)が見えてきます。「コンビニのフランチャイズは儲かる」と「きつい」が両方語られる理由は、この差が主に立地で決まるからです。経営努力で動かせる幅は、思っているより狭いのが実際のところです。
各チェーンは全店平均の日販(1店あたりの1日の売上)をIR資料などで公表していますが、平均は都市部の高日商店に引き上げられた数字です。地方の新規店を平均値で計算するのが、いちばん危険な見積り方になります。最新の平均日販や加盟条件は、必ず各社の公式加盟店募集ページで確認してください。
なお、チェーンを1つに絞って読みたい方はセブンイレブンのフランチャイズは儲かる?加盟金・ロイヤリティ・評判を実データで検証を、収支の基本形だけ確認したい方はコンビニオーナーの年収は本当に儲かる?を先にどうぞ。
内訳分解|月商1,350万円は、どこへ消えていくのか
コンビニのフランチャイズが他業種と決定的に違うのは、本部に払うお金が「売上」ではなく「売上総利益(粗利)」にかかることです。ここを取り違えると、試算が丸ごとずれます。
用語を先に整理します。
- 売上総利益(粗利) … 売った金額から、商品の仕入れ値を引いた残り。コンビニではおおよそ売上の3割前後
- チャージ(ロイヤリティ) … その粗利に対して本部へ支払うお金。チェーンによって「◯◯チャージ」など呼び名が違います
- 加盟店の総収入 … 粗利からチャージを引いた残り。ここから人件費も廃棄も払うので、これは利益ではありません
お金の流れはこうなります。
売上 →(仕入れ値を引く)→ 粗利 →(チャージを引く)→ 加盟店の総収入 →(人件費・ロスを引く)→ 自分の取り分
日商45万円の店で追いかけると、次のとおりです。
| 項目 | 金額(月) | 中身 |
|---|---|---|
| 売上(月商) | 1,350万円 | 日商45万円 × 30日 |
| 商品の仕入れ値 | ▲945万円 | 粗利率30%で計算 |
| 売上総利益(粗利) | 405万円 | ここが本部との分け合いの対象 |
| 本部へのチャージ | ▲251万円 | 粗利の62%と仮定 |
| 加盟店の総収入 | 154万円 | ここはまだ利益ではない |
| 従業員の人件費 | ▲115万円 | 24時間を回す人件費 |
| 廃棄・棚卸ロス | ▲22万円 | 弁当などの売れ残り |
| 消耗品・雑費 | ▲8万円 | レジ袋・清掃・通信など |
| 残る額 | 9万円 | 借入返済前 / 税引前 / 自分たち夫婦の人件費は含まず |
人件費115万円という数字にも、根拠を書いておきます。24時間を平均2人体制で回すと、必要な労働時間は1日48人時、月に約1,440時間。このうち夫婦2人で440時間(1人あたり月220時間)を自分たちで埋めても、残り1,000時間は雇うことになります。時給1,150円なら115万円です(編集部逆算)。
つまり月商1,350万円のうち、オーナー世帯の取り分は9万円。売上の0.7%です。コンビニのフランチャイズは、扱う金額の大きさと手取りの小ささのギャップが、他のどの業態より激しい商売だと考えてください。

下振れ条件|この試算が崩れる4つの場面
上の数字は「うまく回っているとき」の姿です。相談を受けていて実際に崩れるのは、次の4つです。
- 深夜のアルバイトが集まらない 地方でいちばん多い相談です。人が採れないと、24時間の穴をオーナー自身が埋めます。人件費の欄は減りますが、夫婦で月の休みが2日という生活になります。手取りが増えたのではなく、自分の時間で買っているだけです。試算するときは、人件費を削った分を「自分の労働時間」の欄に書き写してください。
- 近くに競合店ができる 同じ商圏に別チェーン、あるいは同じチェーンが出店すると、日商は1〜2割簡単に落ちます。表の「45万円→40万円」がそのまま起きて、手取り9万円が0円になります。契約前に、候補地の周辺で建築計画や大きな空き地がないかを、自分の足で確認してください。
- 廃棄ロスの読み違い 弁当やおにぎりを多めに発注すれば売上は伸びますが、売れ残りは損です。しかもコンビニの会計では、廃棄した商品の原価の扱いが一般的な小売会計と異なる部分があるため、「本部へのチャージは減らないのに、自分の負担だけ増えた」と感じやすい構造になっています。ここは契約書と会計方式の説明を、納得できるまで質問すべき場所です。
- 人件費の上昇 最低賃金は毎年見直されます。人件費が月10万円上がれば、日商45万円の店の手取りは9万円からマイナスに落ちます。試算は必ず「今の時給+数年分の上昇」で置く。これは全業種に言えることですが、人時数が固定されるコンビニでは影響が特に大きく出ます。
共通しているのは、どれも売上ではなくコスト側で起きるということです。売上が読みどおりでも赤字になる経路がこれだけある、と理解してから加盟の判断に進んでください。
コンビニ特有の落とし穴|他業種のFCにはない5つの条件
他のフランチャイズと同じ感覚で契約すると驚く点を、5つに絞ります。
- 契約年数が長い コンビニ大手のフランチャイズ契約は、10年〜15年が基本です。「合わなかったら2〜3年でやめる」を前提にできません。中途解約には違約金の定めがあるのが通常なので、解約条項は契約書の中で最優先に読む場所だと考えてください。年数と違約金の金額は、必ず契約書の実物で確認します。
- 本部との一体会計(オープンアカウント方式など) 仕入れ代金や本部との貸し借りを、本部側で一括管理する仕組みを採るチェーンがあります。日々の資金繰りを本部が支えてくれる面はありますが、赤字が続くと本部への「借り」として残高が積み上がる構造でもあります。毎月いくら引かれ、残高がどう動くのかを、説明会の場で数字入りで聞いてください。
- 最低保証は「利益の保証」ではない 加盟店の総収入に最低保証を設けているチェーンがあります。ただしこれは**「粗利からチャージを引いた金額」の保証**であって、そこから人件費もロスも払います。保証額に届いていても、人件費が重ければ手元には残りません。**保証があるから安心、とは読まないでください。**保証の金額・条件はチェーンと契約タイプで違うため、公式資料での確認が必要です。
- 24時間営業が前提の契約が多い 営業時間を短くできる制度を用意するチェーンも出てきていますが、条件付きであることが多いのが現状です。時短が認められるのはどんな場合か、チャージの扱いはどう変わるかを、加盟前に文書で確認しておくと後がラクです。
- オーナーは労働者ではない 加盟店オーナーは個人事業主(または法人)です。雇用保険も労災も、会社員と同じ形では付きません。体調を崩したときに誰が店を回すのか。代わりに立てる人を開業前に決めておくことが、事実上の必須条件になります。
加盟金とロイヤリティ|見るべきは率ではなく「負担の配分」
コンビニのフランチャイズの契約は、チェーンが違っても大きく2つの型に分かれます。名前は各社バラバラですが、中身はほぼこの2種類です。
| 自分で土地・建物を用意する型 | 本部が土地・建物を用意する型 | |
|---|---|---|
| 物件 | 加盟者が自前で用意する | 本部が用意する |
| チャージ(ロイヤリティ) | 低い | 高い |
| 水道光熱費 | 加盟者が全額負担することが多い | 本部が大部分を負担することが多い |
| 必要な自己資金 | 物件代が別にかかる | 数百万円で始められる |
| 向いている人 | すでに土地・建物を持っている人 | 資金が限られ、物件を持たない人 |
参考として、セブン-イレブン・ジャパンが公表している代表的な条件は、自分で土地建物を用意するAタイプが粗利の43%、本部が用意するCタイプが**粗利の56%〜(粗利額が大きくなるほど率が上がる段階制)**です。他チェーンも枠組みは似ていますが、率も呼び名も異なります。最新の率と適用条件は、必ず各社の公式サイトで確認してください。
ここで多いのが「率が低いほうが得」という読み方です。日商45万円で、率が低い代わりに物件と光熱費を自分で持つ場合を計算すると、こうなります。
| 項目 | 自己物件型・日商45万円(編集部逆算) |
|---|---|
| 売上総利益 | 405万円 |
| チャージ(43%と仮定) | ▲174万円 |
| 加盟店の総収入 | 231万円 |
| 従業員の人件費 | ▲115万円 |
| 廃棄・棚卸ロス | ▲22万円 |
| 水道光熱費(全額自己負担) | ▲30万円 |
| 建物の借入返済・修繕積立 | ▲50万円 |
| 雑費 | ▲12万円 |
| 残る額 | 2万円(返済のうち利息以外も含めた後 / 税引前 / 自分たち夫婦の人件費は含まず) |
チャージは月77万円も安いのに、手元は本部物件型(9万円)より少なくなりました。安くなった分が、そのまま建物と光熱費に消えているからです。率の低さは、その分のリスクを自分で背負う対価だと考えてください。土地をすでに持っている人にとっては有利な契約ですが、これから土地を買って建てる人には、率だけを見た比較は成立しません。
加盟金そのものの考え方はフランチャイズの加盟金とは?相場と「返ってこないお金」の注意点にまとめています。自分の条件で回収年数を出したい方はFC投資回収シミュレーターの使い方もどうぞ。
評判の読み方|「儲かる」と「きつい」がどちらも本当な理由
検索すると正反対の評判が並びます。どちらも嘘ではありません。理由は3つです。
- 日商の差が大きい。 日商40万円の店と65万円の店では、同じチェーン・同じ契約でも手取りが0万円と45万円に分かれます。評判は、その人の店の日商の話をしています。
- 複数店経営かどうか。 2店舗以上を経営するオーナーにはチャージの減額制度を設けるチェーンが多く、店長を雇って自分は経営側に回れます。「コンビニは儲かる」と語る人の多くは複数店オーナーです。1店舗目の労働環境と、複数店経営の収益は別の話として読み分けてください。
- 家族が働けるかどうか。 手取りを決めるのが人件費である以上、家族が入れるかどうかで数字が変わります。これは収益力の差ではなく、家族の時間を投入しているかどうかの差です。
判断の順番は、まず「自分の候補地で日商がいくら立つのか」を本部の担当者に根拠つきで説明させること。次に、その日商から2割引いた数字で暮らせるかを見ること。この2ステップだけで、評判に振り回されずに済みます。
背景|同じ小売でも、在庫を持たないFCとはここが違う
コンビニが属する「その他の小売業」は、全国に328,813事業所あり、全97産業のなかで2番目に事業所数が多い分野です(全事業所5,287,701の6.2%)。それだけ店が多いということは、商圏を分け合う相手も多いということでもあります。 出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和3年経済センサス-活動調査」を加工して作成。
同じ小売でも、在庫と店舗を持たないフランチャイズは収支の形がまるで違います。判断材料として、本部が公表しているモデルを1つ並べます。
| ブランド | 初期費用 | 加盟金 | ロイヤリティ | モデル収支(本部公表) |
|---|---|---|---|---|
| ブランドインパクト(ブランド品物販・EC) | 30万円〜 | 30万円〜 | 月5万円の固定(売上に連動しない) | 月商100万円で純利益約9.5万円 / 月商200万円で約24.5万円 |
※本部公表値です(出典:各社公表資料)。仕入原価約35%・ロイヤリティ・EC出店費を控除した数字で、オーナー自身が運営して人件費0という前提のモデルです。**同じ結果になる保証はありません。**金額は時期により変わるため、最新の条件は公式サイトで確認してください。
並べると、性格の違いがはっきりします。
- ロイヤリティが定額のモデルは、売上が伸びたときに手元に残りやすい。逆に売上が小さいと固定費が重くのしかかる
- コンビニのチャージは粗利連動なので、売上が落ちれば支払いも自動で軽くなる。ただし率そのものが高い
- 在庫を持たないモデルは廃棄ロスがゼロ。コンビニで手取りを削る要因のひとつが、構造として存在しない
- コンビニは月商1,000万円超を1店で扱える。小さく始めるモデルでは届かない売上規模を、300万円台の自己資金で任される
優劣ではなく、背負えるリスクの形が違うだけです。資金が数百万円で、地方で、体力があり、家族が協力できるならコンビニは現実的な選択肢になります。1人で、在庫リスクを取りたくないなら別のモデルのほうが合います。フランチャイズと個人開業どっちがいい?も判断の参考にしてください。
契約前に確認する5項目と、まとめ
チェーンを問わず、加盟前に必ず確認する項目です。
- 法定開示書面をもらって持ち帰る … 加盟希望者への交付が義務づけられた書類です。その場で読ませて回収する本部は避けてください
- 直近3年の加盟店の増減と、閉店した店の数 … 増えた数より、やめた数を聞くのが要点です
- モデル収支の元になった店舗の条件 … 立地・日商・家族労働の有無。「平均」ではなく「どの店か」を聞きます
- 中途解約の条件と違約金の金額 … 契約年数とセットで、金額を数字で確認します
- テリトリー(近隣への出店)の扱い … 同じチェーンが近くに出店できる契約かどうか
このうち1つでも答えを渋る本部があれば、契約を急ぐ必要はありません。
まとめます。
- コンビニのフランチャイズの手取りは日商でほぼ決まる。日商40万円では夫婦の生活費が出ない試算になった(編集部逆算)
- 本部に払うのは売上ではなく粗利に対するチャージ。売上が落ちれば支払いも軽くなるが、率そのものは高い
- 契約は「自分で物件を持つ型」と「本部が用意する型」の2種類。率が低い契約が有利とは限らない
- 長期契約・本部との一体会計・24時間営業の3点は、他業種のFCにはない重い条件
- 総収入の最低保証は、利益の保証ではない
- 自己資金とは別に、生活費6か月分を手元に残しておく
金額・率・制度はいずれも変わります。加盟条件、チャージ率、最低保証、営業時間の制度、補助金の要件は、必ず各本部の公式サイトと最新の募集資料で確認してください。
「自分の候補地なら日商はどのくらい見ておくべきか」「コンビニ以外にどんな選択肢があるか」を整理したい方は、無料のLINE相談で聞いてみてください。試算の前提の置き方から、いっしょに確認できます。
まず自分に向いた開業のかたちから知りたい方は、開業診断から始めてみてください。
LINE友だち限定特典
非公開のビジネスプランと
未公開物件情報をお届け
サイトには載せられない非公開FC案件・優良物件・最新補助金情報を、LINE友だち限定で先行配信。登録は10秒、いつでも解除できます。
