大手珈琲チェーン「コメダ珈琲」がグローバル社によるフランチャイズ運営で青森県弘前市への出店を計画。既存大手チェーンの地方展開戦略を示す事例で、FC加盟による地方への積極的な事業展開を明示している。
出典: Yahoo!ニュース

開業ジャパン編集長より
編集長の視点
一見すると「地方に喫茶店が1軒増える」だけの小さなニュースですが、フランチャイズ研究の教材として読むと非常に味わい深い一件です。注目してほしいのは、出店の主体が本部ではなく、法人の加盟企業だという点です。コメダのようなトップクラスのチェーンでは、地域の有力企業が加盟社として複数店舗を運営する形が広く使われています。つまりこのニュースの実像は「大手チェーンが弘前に進出する」ではなく、「地元の商圏を知る企業が、全国ブランドの看板を借りて自分の街に張った」という話です。誰が金を張ったのかを見る癖をつけると、出店ニュースの読み方は一段深くなります。
都心型と真逆の設計が地方に噛み合う
コメダというブランドの戦い方も、開業を考える人には示唆的です。多くのカフェチェーンが駅前の一等地で回転率を競う中、郊外のロードサイドに広い駐車場付きで構え、長居を歓迎し、客単価をモーニングやシロノワールで引き上げる。都心型カフェとは真逆の設計で、地方の車社会と高齢化にぴったり噛み合っています。青森のような降雪地帯でも、車で乗り付けて店内でゆっくり過ごすスタイルは冬に強い。同じ「カフェ」でも、立地とオペレーション設計次第で商売の構造がまるで変わるという見本です。個人でカフェ開業を夢見る方は、憧れの内装より先に、この「どの立地で、誰に、何分滞在してもらい、いくら使ってもらうか」という設計図の部分を煮詰めてください。カフェは参入者が多いぶん、設計の甘さがそのまま廃業率に表れる業態です。
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「地方×大手ブランド」の光と影
もう一つの論点は「地方×大手ブランド」の組み合わせです。地方都市では、全国ブランドの新規出店そのものが話題になり、開店直後は行列ができることも珍しくありません。競合が少ないぶん一番手を取れれば商圏を長く独占できる一方で、注意点もあります。地方は人口の絶対数が減り続けているため、開店景気が落ち着いた後の巡航売上をどこまで固く見積もれるかが勝負です。商圏人口、車での到達時間、競合の顔ぶれ。この3つを冷静に数えると、「出店すべき地方」と「出店してはいけない地方」がはっきり分かれます。大手が弘前を選んだのは、綿密な商圏調査の結果です。個人が同じ精度で調査するのは大変ですが、考え方の型は学べますし、真似る価値があります。
カフェは席数と滞在時間で天井が決まる
数字の面でも、喫茶・カフェ業態の構造を押さえておきましょう。カフェは客単価が低く、席数と滞在時間で売上の天井がほぼ決まる商売です。だからこそコメダ型のモデルは、駐車場込みの広い敷地を郊外の安い地代で確保し、席数を確保し、フードで単価を上げるという設計になっています。個人経営の小さなカフェが同じ土俵で戦えば、天井の低さに苦しむのは自明です。個人がカフェで生き残る道は、単価を上げる(専門性・物販・焼き菓子等の持ち帰り)か、家賃を極限まで下げるか、営業時間外の売上(間借り貸し、教室、EC)を作るかのいずれかに集約されます。大手の出店ニュースは「彼らと同じことをしてはいけない」という反面教師としても読めるわけです。
加盟店の構成で本部の性格が見える
ちなみに、加盟店が法人中心のチェーンと、個人加盟を広く受け付けるチェーンでは、本部のサポート体制も収益構造も別物になりがちです。法人中心の本部は加盟社の運営力を前提にするため個人には門戸が狭い一方、個人加盟を大量に募る本部は、そのぶん研修やスーパーバイザーの体制が問われます。自分が検討している本部の加盟店構成(法人と個人の比率、平均運営店舗数)を説明会で聞いてみると、その本部が誰を相手に商売をしているのかが透けて見えます。
有名だから安心、ではない
加盟する側の視点で付け加えると、知名度のある本部ほど、加盟のハードルは上がる傾向があります。人気チェーンは加盟希望者が並んでいるため、資金力や運営体制の審査が厳しく、希望エリアが空いていないことも多い。「有名だから安心」と「自分が加盟できるか」「自分の街で成立するか」は全部別の問題として切り分けて考える必要があります。
編集長の結論: 商売は3つの力の掛け算
編集長としての所感です。私はこの手のニュースを見るたびに、「ブランドの力」と「立地の力」と「運営の力」の掛け算が商売なのだと再確認します。どれか一つが強くても、掛け算ですから他がゼロなら結果はゼロです。大手の看板を借りても潰れる店は潰れ、無名の個人店でも設計が良ければ残ります。ニュースの派手さに惑わされず、自分はこの3つのうちどれを持っていて、どれを補う必要があるのか。そこから逆算するのが、開業への一番堅実な入り口だと思います。カフェ開業は「夢の代名詞」のように語られがちなぶん、数字の話が後回しにされやすい業態です。夢を守るのは情熱ではなく損益計算書だ、というのが、多くの開業者を見てきた編集部の偽らざる実感です。下の関連ガイドで、カフェの収支の内訳と商圏の読み方を先に確かめてみてください。数字を見てなお「やりたい」と思えたなら、その夢はもう、夢ではなく計画と呼べる段階に入っています。
※開業ジャパン編集部の見解です。加盟・投資のご判断はご自身の調査・専門家への相談とあわせて行ってください。
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