大手フランチャイズに加盟して開業した焼き肉店が破産手続き開始決定を受けた。新型コロナの影響で売上確保ができず、負債は約8000万円。FC加盟による開業が必ずしも成功を保証しないことを示す事例として、検討中の起業家に対する重要な警告材料となる。
出典: Yahoo!ニュース

開業ジャパン編集長より
編集長の視点
今回の一件は、大手フランチャイズ(以下FC)に加盟して開業した焼肉店が、新型コロナ禍による売上不振を主因として破産手続きに入ったというニュースです。負債額は約8000万円と報じられており、決して小さな金額ではありません。編集長として注目したいのは「大手FCに加盟したから安心」という前提そのものが崩れる事例だという点です。ブランド力や本部の支援体制がある大手であっても、外部環境の急変には抗えないことがある。これは開業を検討している読者全員が、心のどこかに留めておくべき教訓だと感じます。
FC加盟の安心感と現実のズレ
そもそもFCという仕組みは、本部が培ったブランド、集客ノウハウ、食材の仕入れルート、店舗運営マニュアルなどをパッケージで提供し、加盟者はそれを使って比較的短期間で事業を軌道に乗せられる、という考え方に基づいています。個人でゼロから店を立ち上げるより失敗確率を下げられる、というのがFCの本来の売り文句です。実際、看板の知名度があることで、開業直後から一定の集客が見込めるケースは少なくありません。
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しかし今回のように、外食産業全体を直撃するような大きなショックが起きた場合、ブランド力だけでは売上の急減を止められません。焼肉業態は特に、大人数での飲食を前提とした客単価設計になっていることが多く、外出自粛や会食制限の影響を強く受けやすい業態でもあります。加えて、大手FCの店舗は坪数が大きく、家賃や人件費などの固定費も相応に高くなりがちです。売上が落ち込んだときに、固定費の重さがそのまま資金繰りを圧迫するという構造は、独立系の小規模店よりもむしろ厳しく出ることもあります。
業界に共通する構造的な弱点
外食FC業界全体を見渡すと、今回のような事例は決して特殊なものではありません。コロナ禍以降、外食産業では大小さまざまなFCチェーンで閉店・撤退が相次ぎました。本部は多くの場合、加盟店に対して開業支援や研修、販促協力といった形でバックアップを行いますが、日々の売上そのものを保証する契約にはなっていないのが一般的です。ロイヤリティ(本部への継続的な支払い)や食材の仕入れ条件は、平時には合理的でも、売上が落ち込んだ局面ではむしろ加盟店側の負担として重くのしかかることがあります。
また、開業資金の多くを借入でまかなっているケースでは、売上減少がそのまま返済不能につながりやすいという事情もあります。今回の負債額の大きさからも、初期投資と借入の規模がある程度大きかったことがうかがえます。大手FCほど内装や設備のグレードが高く、初期費用も高額になりやすい傾向があるため、投資回収に時間がかかる分、外部ショックへの耐性は相対的に低くなりがちだという点は、業界の構造として押さえておく必要があります。
開業検討者が今できる備え
読者の皆さんにお伝えしたいのは、「だから大手FCは危険」という単純な結論ではないということです。大手FCには、独立系にはない研修体制やブランド認知、仕入れの安定性といった明確な利点があります。むしろ重要なのは、加盟を検討する段階で、良い面だけでなく「売上が想定を大きく下回った場合にどうなるか」というシナリオまで具体的に確認しておくことです。
具体的には、月々の固定費(家賃・人件費・ロイヤリティ)の総額と、それを賄うために最低限必要な売上ラインを自分で計算してみること。借入金額と月々の返済額が、売上がゼロに近づいた期間にも耐えられる水準かどうかをシミュレーションしておくこと。そして本部が提供する「支援」が、実際に売上減少局面でどこまで実効性を持つのかを、既存加盟店の声も含めて調べておくことです。契約書に書かれている数字だけでなく、実際に運営している人の実感を聞く機会を持てるかどうかは、加盟先を選ぶ上で大きな差になります。
編集長の結論: 看板より自分の耐久力を見る
FCという看板は、開業の入り口を広げてくれる便利な仕組みですが、それ自体が事業の安全を保証してくれるわけではありません。今回の事例が教えてくれるのは、規模の大きさや知名度の高さと、経営の耐久力は必ずしも一致しないという当たり前の事実です。開業を考える皆さんには、加盟先のブランドイメージに引っ張られすぎず、自分が背負う固定費と借入の水準を冷静に数字で把握したうえで、最悪のシナリオでも数か月は持ちこたえられる体力があるかどうかを、契約前にしっかり確認してほしいと思います。景気や感染症のような外部要因は誰にも予測できませんが、備えの厚さは加盟前の準備次第で確実に変えられます。
※開業ジャパン編集部の見解です。加盟・投資のご判断はご自身の調査・専門家への相談とあわせて行ってください。
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