フランチャイズ

飲食店のフランチャイズは儲かる?|加盟金・ロイヤリティ・評判を実データで検証

2026/8/23 更新

飲食店のフランチャイズは儲かる?|加盟金・ロイヤリティ・評判を実データで検証

「飲食店のフランチャイズって、結局いくら儲かるの?」——加盟相談でいちばん多い質問です。

ところが、ネットで出てくる答えは「月100万円稼げる」から「やめとけ、赤字だ」まで幅がありすぎて、判断材料になりません。理由ははっきりしていて、どのモデルの、どの段階の、何を引いたあとの数字なのかが揃っていないからです。

この記事では、当サイトに掲載している飲食系フランチャイズ本部の公表データ(初期費用・ロイヤリティ・収支モデル)を使って、売上から手元に残るまでを1項目ずつ分解します。一般論は最小限にして、金額の話を厚くしました。

結論|飲食店のフランチャイズで手元に残るのは月17万〜76万円

先に結論の表です。当サイト掲載の飲食系ブランドが公表している収支モデルを、そのまま並べました。

モデル業態月の手取り(営業利益)前提
独立店舗型焼鳥店(鳥みや)月76万円月商330万円/前橋本店18坪28席・安定推移期
メニュー追加型そば(きなせや)月19.7万円既存店に追加/追加売上30.8万円モデル ※ロイヤリティ差引前
メニュー追加型飲食メニュー導入(メニューFC)月17.2万円既存店に追加/追加売上30.8万円モデル
共通の前提(重要)—借入の返済前・税金/社会保険料を引く前・オーナー自身の人件費が含まれるかは要確認本部公表のモデル値

つまり現実的なレンジは月17万円〜76万円。ただしこの数字は「うまくいったとき」の姿です。下の表の最終行がいちばん大事なので、もう一度書きます。

  • 借入の返済前 … 日本政策金融公庫などから借りていれば、ここから毎月の返済が出ていきます
  • 税前 … 所得税・住民税・国民健康保険や社会保険はここから払います
  • 自分の人件費 … オーナーが自分で店に立つ場合、その給料が経費に入っているのか、利益に含まれたままなのかで意味がまったく変わります

「月76万円」と聞いて、それが自分の生活費に丸ごと使えるお金だと考えると、必ず足りなくなります。

金額・条件はいずれも本部の公表値で、時期により変動します。最新情報は必ず各本部の公式サイトと最新の募集資料で確認してください。

内訳を分解する①|月商330万円の焼鳥店から76万円が残るまで

いちばんイメージしやすい独立店舗型から見ます。焼鳥店「鳥みや」が公表している収支モデルです。

項目金額月商に対する比率
月間売上330万円100%
原価(食材)−86万円26.21%(本部公表の原価率)
人件費(3人分)−80万円約24.2%(編集部逆算)
地代家賃−22万円約6.7%(編集部逆算)
水道光熱費・通信費−14万円約4.2%(編集部逆算)
広告費−10万円約3.0%(編集部逆算)
ロイヤリティ(売上の3%)−10万円3%
システム使用料・食材ロス−5万円約1.5%(編集部逆算)
リース・その他諸経費−27万円約8.2%(編集部逆算)
月間営業利益(オーナー手取り)76万円約23.0%(編集部逆算)

※前橋本店18坪28席・安定推移期のモデル。返済前・税前の数字です。

読み方のポイントを3つだけ。

1. 原価率26.21%は飲食店としてかなり低い 鳥みやは産地直送・直卸(問屋を通さない仕入れ)で原価率26%台を実現していると説明しています。飲食業では「食材費(Food)+人件費(Labor)」を合計したFL比率という指標をよく使いますが、このモデルは(86+80)÷330で約50.3%(編集部逆算)。一般に目安とされる60%前後より低い設計です。原価率は数字が小さいほど、同じ売上でも手元に残る額が増えます。

2. 固定費の合計が月158万円ある 人件費80+家賃22+水光熱14+広告10+システム等5+リース等27=158万円(編集部逆算)。売上が落ちても、この158万円はあまり減りません。ここが飲食店の怖さであり、次の章で見る下振れの正体です。

3. 初期費用380万円の回収は約5ヶ月(編集部逆算) 380万円÷月76万円=約5.0ヶ月。本部も「初期費用回収5ヶ月」を資料の説明項目に挙げています。ただしこれは開業初月から月商330万円が出た場合の計算で、実際には立ち上がりに時間がかかります。加えて開業資金380万円のほかに、家賃・人件費を数ヶ月ぶん先払いできる運転資金が別途必要です。ここを混同すると資金がショートします。

飲食店フランチャイズの収支を1項目ずつ分解するイメージ

内訳を分解する②|投資20万円台の「メニュー追加型」という選択肢

飲食店フランチャイズには、店をゼロから作らない型もあります。すでに飲食店を経営している人が、既存の厨房のまま人気メニューを1品足すタイプです。地方で店をやっている方から「新しい柱がほしいが、もう1店舗出す体力はない」という相談を受けたときに紹介するのがこの型です。

項目メニューFCきなせや(へぎそば)
初期費用20.5万円20万円
加盟金20万円20万円
ロイヤリティ月2万〜6万円(固定・1店舗につき)+システム利用料月6,000円〜2万円(固定)※へぎそば・かえし・つゆの購入が条件
モデル追加売上月15万〜90万円月45万〜90万円(16〜18席想定)
月間追加売上(モデル)30.8万円30.8万円
原価−10.8万円−10.8万円
水光熱費など−0.3万円−0.3万円
ロイヤリティ−2万円(モデルに未計上)
システム利用料−0.5万円(モデルに未計上)
加盟店オーナー利益17.2万円19.7万円
黒字までの期間初月から初月から
初期費用の回収約1ヶ月約1ヶ月

利益率が高く見える理由は単純で、家賃も人件費も増えないからです。すでに払っている固定費の上に売上だけを乗せるので、追加売上30.8万円に対して利益17.2万円=約55.8%(編集部逆算)、きなせやは**約64.0%(編集部逆算)**という比率になります。

ただし、そのまま鵜呑みにしてはいけない点が2つあります。

きなせやのモデルにはロイヤリティが引かれていません。 表のとおり30.8−10.8−0.3=19.7万円という計算で、月6,000円〜2万円のロイヤリティが差し引かれていない構成です。上限の月2万円を引くと約17.7万円(編集部逆算)、下限の6,000円なら約19.1万円(編集部逆算)。差は小さいですが、「どこまで引いた数字か」を確認する癖はここでつけておいてください。

食材の購入条件があります。 きなせやは「へぎそば・かえし・つゆの購入が条件」と明記されています。これは本部から指定の食材を買う契約で、原価が本部の値決めに左右されるということです。悪い条件という意味ではなく、味と品質を揃えるための仕組みですが、値上げがあったときに自分でどう吸収するかは事前に考えておく必要があります。

そして、この型はすでに飲食店を営業している人向けです(両ブランドとも募集対象が「現在飲食店を営業されている方」)。これから初めて店を持つ人は、前章の独立店舗型が対象になります。

下振れするのはどこか|同じモデルで手取りが消える3つの条件

ここがこの記事でいちばん読んでほしい章です。モデル収支は「うまくいった月」の姿なので、うまくいかなかった月にいくらになるかを自分で計算できるようにしておきます。

鳥みやのモデル(月商330万円・原価率26.21%・固定費158万円・ロイヤリティ売上の3%)を使って、売上だけを動かしてみます。

月商原価ロイヤリティ固定費手取り(編集部逆算)
330万円(モデル)86.0万円10.0万円158万円76.0万円
297万円(−10%)77.8万円8.9万円158万円約52.3万円
264万円(−20%)69.2万円7.9万円158万円約28.9万円
231万円(−30%)60.5万円6.9万円158万円約5.6万円

※固定費を一定として計算した簡易試算です。実際には水道光熱費や食材ロスは売上とともに多少上下します。

売上が3割落ちると、手取りはほぼ消えます。 売上は30%減っただけなのに、利益は93%減る。これが固定費の重い商売の構造です。売上が2割落ちる程度のことは、近くに競合ができた、大型連休の並びが悪かった、猛暑で人が出なかった、といった理由で普通に起こります。

下振れの原因は、だいたい次の3つに集約されます。

① 立ち上がりが遅い モデル収支は「安定推移期」の数字です。鳥みやは申込みから開業まで約6ヶ月、契約期間5年。開業して数ヶ月は認知が足りず、モデル売上に届かないのが普通です。この期間を耐える運転資金があるかどうかが、最初の分かれ目になります。

② 人が採用できない 人件費80万円は「3人分」の想定です。募集しても集まらなければ、その穴はオーナー自身が埋めることになります。数字上は人件費が浮いて利益が増えたように見えますが、実態は自分が無給で働いて赤字を隠している状態です。逆に、時給を上げて人を確保すれば、1人増やすだけで月20万〜25万円ぶん利益が減ります。

③ 家賃の高い物件を選んでしまう このモデルの地代家賃は月22万円(月商比 約6.7%・編集部逆算)。飲食店で家賃比率が10%を超えると、途端に苦しくなります。月商330万円なら家賃33万円が上限の目安、という逆算をしてから物件を探してください。家賃はいちど契約すると下げられません。

飲食店フランチャイズ固有の落とし穴4つ

コンビニや学習塾ではなく、飲食だからこそ気をつける点をまとめます。

1. 原価が自分の努力だけでは下がらない 指定食材の仕入れが条件になっている契約では、原価は本部の設定に連動します。加盟前に「原材料の価格改定はどのくらいの頻度で、どう通知されるか」を必ず聞いてください。原価率が2ポイント上がるだけで、月商330万円の店では月6.6万円の利益が消えます(編集部逆算)。

2. ロイヤリティの計算基準が売上か固定かで、リスクの形が変わる 鳥みやは「売上の3%相当分」、メニューFC・きなせやは固定額です。売上歩合制は、売上が落ちれば負担も減るかわりに、儲かっても取り分が増えます。固定制は、売れれば売れるほど有利ですが、売上が落ちても金額は減りません。 どちらが得かは店の規模次第です。詳しくはフランチャイズのロイヤリティとは?定額制と歩合制、どっちが得か徹底比較にまとめています。

3. 人手が確保できるかは、地方ほどシビア 飲食は営業時間が長く、シフトを組む人数が要ります。地方で開業する場合、時給水準よりそもそも応募が来るかが問題になりがちです。加盟前に、近隣の同業種の求人が何ヶ月出続けているかを見ておくと、実態がわかります。

4. 契約期間と、やめるときの条件 鳥みやは契約期間5年。途中でやめる場合の違約金、内装の原状回復費用、リース契約の残債は、契約書を見ないとわかりません。入口の条件より、出口の条件を先に確認する——これは飲食に限らずフランチャイズ全般の鉄則です。撤退の実例はフランチャイズで失敗する人の共通点で扱っています。

加盟金・ロイヤリティ・回収期間を横並びで見る

判断材料として、掲載3ブランドを1枚にまとめます。

鳥みや(焼鳥店)メニューFCきなせや(そば)
初期費用380万円20.5万円20万円
加盟金200万円20万円20万円
ロイヤリティ売上の3%相当分月2万〜6万円(固定)+システム利用料月6,000円〜2万円(固定)
モデル売上月商330万円追加売上 月15万〜90万円追加売上 月45万〜90万円
モデル手取り月76万円〜月20万円〜月20万円〜
初期費用の回収約5.0ヶ月(編集部逆算)約1ヶ月約1ヶ月
対象未経験可(加盟オーナーは全員未経験スタート)現在飲食店を営業中の方現在飲食店を営業中の方
対応エリア北海道・沖縄以外の全国全国全国
契約・開業まで契約5年/申込みから約6ヶ月申込みから約1ヶ月申込み後すぐ
詳細鳥みやメニューFCきなせや

加盟金の額そのものは、良し悪しの判断材料になりません。 加盟金200万円の鳥みやは、30日間の研修と商圏分析、開業支援がその中に含まれています。加盟金20万円のメニュー導入型は、そもそも店舗を作らないので支援の範囲が違います。見るべきは金額ではなく、その金額に何が含まれ、何が別料金なのかです(加盟金の性質はフランチャイズの加盟金とは?で解説しています)。

評判の読み方とよくある質問

「儲かる」「やめとけ」が真っ二つに割れるのは、評価している人の立場と時期が違うからです。開業3ヶ月目の人と5年目の人では、同じ本部でも見え方がまったく違います。ネットの評判を見るときは、次の3点で情報を絞ってください。

  • いつの話か(ロイヤリティ制度も食材原価も改定されます)
  • どの立地・どの規模か(18坪28席の話と、40坪の話は別物です)
  • その人が店に立っていたか(オーナーが現場に入るかで手取りの意味が変わります)

数字で確認できる評判の材料もあります。鳥みやは加盟店の平均存続期間15年、加盟オーナーは全員が業界未経験からのスタートと公表しています。存続期間は、短期で撤退が続いていないかを測るうえで意味のある指標です。説明会では、この手の数字を根拠つきで説明できるかを見てください。何を聞けばいいかはフランチャイズ説明会で必ず聞くべき10の質問にまとめています。

背景データ: 飲食店は全国に499,193事業所あり、全事業所5,287,701の9.4%を占める最も事業所数の多い業種です。それだけ需要がある一方で、競合が最も多い市場でもあります(出典:総務省統計局「令和3年経済センサス‐活動調査」(e-Stat)を加工して作成)。飲食業共通の収支の考え方は飲食店オーナーの年収はいくら?売上から手元に残るまでの内訳を実データで解説にまとめてあります。

Q. 未経験でも大丈夫ですか? 本部によります。鳥みやは加盟オーナー全員が業界未経験スタート、研修30日というモデルです。未経験可をうたう本部では、研修の日数と内容、開業後のフォロー頻度を必ず確認してください。

Q. 自己資金はいくら必要ですか? 初期費用の額とは別に、開業後数ヶ月ぶんの運転資金が要ります。鳥みやのモデルなら固定費が月158万円(編集部逆算)なので、立ち上がり期を耐える資金を初期費用に上乗せして考えます。具体的な調達方法は日本政策金融公庫の創業融資が入口になることが多いです(制度内容は変わるため、最新情報は公式サイトで確認してください)。

Q. 個人で自由にやるのと、どちらがいいですか? メニューや仕入れを自分で決めたいなら個人開業、立ち上げの型を買いたいならフランチャイズです。比較はフランチャイズと個人開業どっちがいい?にまとめています。

Q. 業態を絞って調べたいのですが ラーメンのフランチャイズは儲かる?、居酒屋は本当に儲かるのか、カフェは本当に儲かるのかでそれぞれ内訳を分解しています。

まとめ|判断の順番を間違えないために

  • 飲食店フランチャイズの手取りは、掲載データ上月17万〜76万円のレンジ。ただし返済前・税前・自分の人件費が入っているか要確認
  • 独立店舗型(鳥みや)は初期費用380万円・月商330万円で手取り76万円、回収は約5.0ヶ月(編集部逆算)。ただし売上が3割落ちると手取りはほぼ消える
  • 既存店がある人には、初期費用20万円台のメニュー追加型という選択肢がある(固定費が増えないぶん利益率が高い)
  • 加盟金の額ではなく、その金額に何が含まれるかとやめるときの条件で判断する
  • 数字はすべて本部の公表モデル。最新の条件は必ず公式サイトと募集資料で確認を

自分の候補地に置き換えたときにこの数字がどう変わるかを整理したい方は、無料LINE相談もあります。「この家賃なら月商いくら必要ですか」「この初期費用に運転資金は入っていますか」といった1点だけの確認でも構いません(相談は無料・しつこい勧誘はありません)。

条件を横並びで見比べるところから始めたい方は、フランチャイズ一覧で各ブランドの初期費用・ロイヤリティ・収支モデルを確認してみてください。

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