開業の基礎

焼肉屋は本当に儲かるのか|売上から手元に残るまでの内訳

2026/8/15 更新

焼肉屋は本当に儲かるのか|売上から手元に残るまでの内訳

「焼肉屋は儲かるらしい」——独立を考え始めた人が、一度は耳にする話です。

たしかに、焼肉屋には他の飲食店にはない特徴があります。ただし「儲かるかどうか」は、売上の大きさではなく 売上から全部の費用を引いたあとに、いくら残るか で決まります。ここを分けずに考えると、月商500万円という数字だけを見て「すごい」と思い込み、実際に開業してから青ざめることになります。

この記事では、実際に加盟者を募集している焼肉フランチャイズ2ブランドの公表数値を使って、売上が手元のお金に変わるまでの流れを一つずつ分解します。専門用語には毎回かんたんな説明をつけますので、飲食未経験の方でも読み進められます。

焼肉屋は儲かるのか|まず「市場の大きさ」と「競争の激しさ」を知る

飲食業は、日本でもっとも事業所(お店や事務所のこと)が多い業種です。

政府の統計によると、飲食店の全国事業所数は 499,193事業所。これは全97産業のなかで 1位、日本の全事業所5,287,701のうち 9.4% を占めます。

出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和3年経済センサス-活動調査」を加工して作成

この数字は、2つのことを同時に教えてくれます。

  • 良いニュース:それだけ多くの人が食事にお金を使っている=需要は確実にある
  • 厳しいニュース:約50万の事業所がライバル=「なんとなく開業」では埋もれる

つまり「飲食は儲かる/儲からない」という大ざっぱな話に意味はありません。自分の店の数字が成り立つかどうかが全てです。

焼肉屋が「儲かりやすい」と言われる3つの理由

理由内容
①お客さんが自分で焼く調理の一部をお客さんがやってくれるため、厨房スタッフを他業態ほど多く抱えなくても回しやすい
②客単価が高くなりやすい肉に加えてサイドメニュー・ドリンクが出やすく、1人あたりの支払額が上がりやすい
③メニューを絞りやすい仕込みの種類が少なく、仕入れも肉に集中するため、オペレーション(お店の回し方)を単純にしやすい

ただし、これらは「有利な条件」であって「儲かる保証」ではありません。次の章から、その有利さがどれだけお金として残るのかを数字で見ていきます。

焼肉屋の売上は「席数 × 回転 × 客単価 × 営業日数」で決まる

売上は感覚ではなく、かけ算で決まります。

  • 席数:お店に置ける椅子の数
  • 回転(回転率):1つの席に、1日で何組のお客さんが座るか。「1.5回転」なら、1席あたり1日1.5人分が座る計算
  • 客単価:お客さん1人が支払う平均金額

たとえば30席の店で試算すると、こうなります。

席数回転客単価1日の売上月商(25日営業)
30席1.0回転3,500円105,000円約262万円
30席1.5回転4,000円180,000円約450万円
30席2.0回転4,500円270,000円約675万円

※これは仕組みを理解するための計算例です。実際の数値は立地・曜日・季節によって大きく変わります。

注目してほしいのは、回転と客単価がほんの少し動くだけで、月商が200万円以上変わることです。焼肉屋は「金・土・日の夜」に売上が集中しやすい業態なので、平日をどう埋めるかが月商を左右します。

売上から引かれるお金を、全部並べてみる

ここが本題です。月商450万円の店があったとして、その450万円は自分のものではありません。次のようなお金が、そこから順番に出ていきます。

費目どんなお金か焼肉屋での注意点
原価(食材費)肉・野菜・ドリンクの仕入れ代肉は仕入れ価格が変動しやすい。相場が上がった月は利益が削られる
人件費従業員の給料・社会保険料焼く手間は減るが、配膳・下げ・洗い物・七輪の清掃は人手が要る
家賃店舗の賃料・共益費一度契約すると下げられない「固定費」。ここの判断ミスは後から取り返せない
水道光熱費電気・ガス・水道焼肉は換気(ダクト)と火を常時使うため、他業態より重くなりやすい
販促費グルメサイト掲載料・チラシ・SNS広告開業直後は多め、軌道に乗ったら見直す
ロイヤリティフランチャイズ加盟時に本部へ払う継続的な料金「売上の◯%」型は、赤字の月でも売上があれば発生する
減価償却費・修繕費内装や厨房設備の価値の目減り、故障時の修理代無煙ロースターやダクトは高額。壊れる前提で積み立てが必要
借入返済・利息融資を受けた場合の毎月の返済利益の計算に入っていないことが多い最重要ポイント(後述)

**「FL比率」**という言葉を覚えておくと便利です。Food(食材費)とLabor(人件費)を足した金額が、売上に対して何%かを見る指標で、飲食店の経営者が毎月いちばん気にする数字です。この2つが膨らむと、家賃や光熱費を払った時点で利益が消えます。

実際の焼肉フランチャイズ2ブランドの数字で見る

ここからは、開業ジャパンに掲載している焼肉ブランドの公表データを使います。仮定の数字ではなく、本部が加盟希望者向けに出している実際のモデルです。

項目焼肉タン革命大衆焼肉 たきち
初期費用500万円2,500万円
加盟金100万円150万円
ロイヤリティ売上の5%売上の5% + 3万円
モデル売上月商300万〜500万円月商600万〜900万円
月間利益月60万円〜月130万〜170万円
詳細/brands/ft-tan-kakumei//brands/ft-takichi/

※金額はいずれも本部公表値です。時期やキャンペーンにより変動しますので、検討時は必ず最新の条件をご確認ください。

お金の内訳を確認する

売上100万円あたり、手元にはいくら残るのか

公表されているモデル売上と月間利益から、利益率(売上に対して利益が何%か)を逆算してみます。

ブランド月商月間利益利益率(逆算)売上100万円あたりの利益
焼肉タン革命300万円60万円約20%約20万円
大衆焼肉 たきち600万円130万円約21.7%約21.7万円
大衆焼肉 たきち900万円170万円約18.9%約18.9万円

※開業ジャパン掲載の各本部公表値をもとに編集部で算出。実際の数値は店舗ごとに異なります。

ここから読み取れることは、とてもシンプルです。

売上のうち、手元に向かうのはおよそ2割。残りの8割は費用として出ていく。

月商300万円の店なら、1か月まるごと働いて動くお金は300万円でも、そこから残るのは60万円ほど。この感覚を持てるかどうかが、焼肉屋の開業判断の分かれ目になります。

ロイヤリティは「利益の5%」ではなく「売上の5%」

見落としやすいのがロイヤリティの計算方法です。どちらのブランドも 売上の5%(たきちはさらに月3万円)なので、実額はこうなります。

月商焼肉タン革命(5%)大衆焼肉 たきち(5%+3万円)
300万円15万円—
500万円25万円—
600万円—33万円
900万円—48万円

利益ではなく売上に対してかかるため、売れているのに利益が出ていない月でも、金額は変わらず発生します。ここは契約前に、計算の基準(税抜か税込か、どの売上が対象か)まで確認しておきたい部分です。

投資したお金は、何か月で戻ってくるのか

初期費用を月間利益で割ると、回収までのおおよその月数が出ます。

ブランド初期費用月間利益単純計算の回収期間
焼肉タン革命500万円60万円約8〜9か月
大衆焼肉 たきち2,500万円130万円約19か月(約1年7か月)
大衆焼肉 たきち2,500万円170万円約15か月(約1年3か月)

※本部公表値をもとにした単純割り算です。実際は開業直後から満額の売上が立つわけではないため、この月数より長くかかると考えておくのが安全です。

そして、この表を見るときに 絶対に忘れてはいけない3つの前提 があります。

  1. 開業初月からモデル売上には届かない:認知が広がるまでの数か月は、売上が下振れする前提で運転資金(開業後の当面の生活費・仕入れ代)を用意しておく
  2. 月間利益=自分の給料ではない場合がある:オーナーの報酬が引かれる前の数字か後の数字か、本部に必ず確認する
  3. 借入の返済は利益から出す:2,500万円を借りて10年で返すなら、返済だけで月20万円超。月間利益130万円のうち、返済と自分の生活費を引いた残りが本当の「貯まるお金」

初期費用の重さは業種によってまるで違います。参考までに、同じく当サイト掲載の「おそうじのえる」(お掃除・お庭サービス)は初期費用105万円〜で、オーナー1名稼働モデルの月商132万円・手取り約82万円が公表値です(本部公表値//brands/osouji-noel/)。焼肉屋は内装・排煙設備・什器に費用がかかるぶん、動くお金は大きいが、最初に必要な資金と背負うリスクも大きい業態だと理解しておいてください。

焼肉屋が「儲からない店」になる4つのパターン

数字が崩れるときには、だいたい決まった型があります。

① 席数を欲張って、家賃が重くなる

「大きい店のほうが売れる」と考えて広い物件を借りると、家賃という固定費が毎月確実にのしかかります。売上は変動しますが、家賃は変動しません。平日の夜に空席が並ぶ店は、この判断ミスから始まっていることが多いです。

② 立地と客単価が合っていない

客単価4,500円の店を、外食の相場が2,500円の商圏に出すと、「おいしいけど高い」と言われて2回目が来ません。逆に単価を下げすぎれば、原価の高い肉を扱う焼肉屋では利益が残りません。自分の周りの店がいくらで売っているかを、開業前に自分の足で数えることが最も確実な調査です。

③ 人手が足りず、店主が現場から抜けられない

焼肉屋は洗い物・七輪やロースターの清掃といった「見えない作業」が多い業態です。人が採用できないと店主が毎日フル稼働することになり、数字を見る時間も、2店舗目を考える時間もなくなります。地方では特に、採用のしやすさを開業前に確認しておく価値があります。

④ 「利益」と「手元に残るお金」を混同する

これが最も多い誤解です。月間利益60万円と書いてあっても、そこから借入返済・税金・設備の修繕積立を出せば、自由に使えるお金はぐっと減ります。利益の表を見たら、必ず「ここから何を払うのか」を書き足す習慣をつけてください。

開業を決める前に確認したい5つのこと

焼肉フランチャイズを検討する場合、契約前にここを潰しておくと失敗の確率が下がります。

確認項目具体的に聞くこと
①モデル数値の根拠そのモデル売上は何店舗の平均か。最も低い店はいくらか
②初期費用の中身加盟金・内装・厨房機器・保証金のどこまでが含まれるか。含まれない費目は何か
③ロイヤリティの基準売上の何を対象に、税抜か税込か。他に広告分担金などの継続費用はあるか
④撤退条件途中でやめる場合の違約金、契約期間、更新時の費用
⑤本部の支援内容物件探し・採用・研修・開業後の巡回で、どこまでやってくれるか

また、資金面では 補助金・助成金 も選択肢になります。国や自治体には、創業時や設備投資に使える制度が用意されている場合があります。ただし制度は年度ごとに内容や募集時期が変わるため、必ず公式サイトで最新情報を確認し、申請要件(対象経費・申請時期・後払いかどうか)を早めに把握しておいてください。多くの制度は「先に支払って、後から一部が戻る」形なので、資金繰りの計画とセットで考える必要があります。

こうした確認は、一人でやると必ず抜けが出ます。「この初期費用は相場として妥当か」「自分の自己資金で足りるのか」といった質問は、物件を探し始める前、できれば 本部に問い合わせる前 の段階で誰かにぶつけておくと、判断がぶれません。

まとめ|「儲かるか」は、売上ではなく残るお金で判断する

この記事で押さえておきたい点を整理します。

  • 飲食店は全国499,193事業所と競争が激しく、「業種が良いから儲かる」は成立しない
  • 売上は「席数 × 回転 × 客単価 × 営業日数」で決まり、回転と単価の小さな差が月商を大きく変える
  • 掲載2ブランドの公表値から逆算すると、売上のうち手元に向かうのはおよそ2割
  • 初期費用500万円と2,500万円では、回収期間も背負うリスクもまったく違う
  • 月間利益から、さらに借入返済・税金・修繕積立を払う。ここを織り込めるかが分かれ目

焼肉屋は、条件がそろえば手元に残るお金をしっかり作れる業態です。一方で、設備にお金がかかり、固定費も重い。だからこそ「なんとなく良さそう」ではなく、自分の資金・立地・体力で成立する数字かを、開業前に紙の上で確かめておくことが何よりの準備になります。

まずは各ブランドの初期費用・ロイヤリティ・モデル収支を並べて見比べるところから始めてみてください。→ フランチャイズ一覧

自分の資金額でどこまで狙えるのか、どの業態が向いているのかを整理したい方は、開業診断で条件を入力すると候補が絞り込めます。「この初期費用は妥当なのか」「地方でも成り立つのか」といった個別の疑問は、無料のLINE相談で気軽に聞いていただけます(しつこい勧誘はありません)。急いで決める必要はありませんので、納得できるまで数字を確かめてから進めてください。

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