近畿大学の学生向け起業支援プログラムが、飲食店の海外展開をテーマにポップアップ店舗を3カ国で実施。実践的な国際ビジネス経験を通じて、起業家育成を行っている。グローバルな視点での飲食店経営や海外展開の可能性を学べる機会として、野心的な起業家層に有益。
出典: 日刊工業新聞

開業ジャパン編集長より
編集長の視点
近畿大学が学生向けの起業支援プログラムの一環として、飲食店の海外展開をテーマにしたポップアップ店舗(期間限定で開く仮設の店舗)を3カ国で実施したというニュースが、日刊工業新聞で報じられました。大学発の起業家教育というと、国内の小規模な実習に留まるイメージを持つ方も多いかもしれませんが、今回は「海外展開」という、個人での独立開業を目指す読者にとっても普段はなかなか触れる機会のないテーマを、実際の店舗運営という形で体験させている点が注目に値します。開業ジャパンの読者の多くは国内でのFC加盟や個人開業を検討していると思いますが、こうした教育の動きは、これから飲食業界に入ってくる人材や価値観がどう変わっていくかを知る手がかりにもなります。
大学発の起業教育が実店舗まで踏み込む理由
これまでの大学の起業支援は、ビジネスプランコンテストや座学中心のものが主流でした。しかし近年は、実際に店舗を出し、お客に商品を売り、収支を体験させる「実践型」のプログラムが増えています。今回の近畿大学の取り組みも、飲食店経営という実務に加えて、海外という不確実性の高い市場での挑戦を組み合わせている点が特徴的です。座学だけでは得られない、現地の反応や文化の違い、思わぬコストの発生といった「生きた経験」を学生のうちに積ませようという狙いが読み取れます。
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なぜ今、海外展開がテーマになるのか
背景には、国内の飲食市場が人口減少や競争激化によって伸び悩んでいる一方、日本食や日本発のサービスに対する海外での関心が高まっている、という一般的な業界の流れがあります。大手飲食チェーンが海外出店を加速させているというニュースも珍しくなくなりましたし、インバウンド需要で来日した外国人が帰国後に「本場の味」を求める動きも指摘されています。こうした環境の中で、次世代の飲食業界の担い手に「海外という選択肢」を早い段階から意識させる教育的な意味合いは大きいといえるでしょう。
ポップアップ店舗という手法自体にも学びがある
今回の取り組みでもう一つ注目したいのが、「ポップアップ店舗」という手法そのものです。期間限定で小さく出店し、反応を見てから本格展開を判断するというやり方は、実は個人の開業検討者にとっても応用できる考え方です。いきなり固定の店舗を借りて大きな投資をするのではなく、催事やイベント出店、キッチンカー、期間限定の間借り営業などで市場の反応を試してから本格的な開業に踏み切る、というステップは、リスクを抑えながら経験を積む方法として、多くの開業本や先輩オーナーの体験談でも語られてきた考え方です。海外という舞台でなくても、この「小さく試す」という発想自体は、国内での独立準備にそのまま活かせるものだと思います。
開業検討者にとってのチャンスと注意点
このニュースを読んで、「自分も海外で飲食店を出せるかもしれない」と夢を広げる方もいるかもしれません。実際、海外展開は個人にとっても完全に手が届かない話ではなく、現地パートナーとの提携や、まず小さな形で市場を試すという方法が取られることもあります。学生プログラムの経験が、将来的に飲食業界で海外を目指す人材のきっかけになる可能性は十分にあるでしょう。
一方で、注意しておきたい点もあります。大学の起業支援プログラムは、大学側の資金やネットワーク、指導教員のサポートといった、個人が単独で用意することが難しい前提のもとで成立しています。海外での店舗運営には、現地の法規制や許認可、言語の壁、資金の持ち出しや税制の違いなど、国内開業とは比較にならないほど多くの実務的な障壁が存在します。今回の要約に具体的な資金規模や成果は示されておらず、あくまで教育プログラムとしての取り組みであることも忘れてはいけません。「学生でもできたのだから自分にもできる」と単純に読み替えるのは早計で、まずは国内での開業経験を積み、その延長線上で海外展開の可能性を検討するという段階的なアプローチが現実的だといえます。
編集長の結論: 遠い海外の話も視点としては使える
正直に言えば、このニュースを読んで「明日から海外展開を考えよう」となる開業検討者はまだ少数派だと思います。多くの読者にとっては、まずは国内での一店舗目をどう成功させるかが最優先の課題でしょう。ただ、次世代の飲食業界の担い手が学生時代からこうした国際的な視点を持って育っていくという事実は、今後の業界の競争環境や人材の質を考えるうえで、頭の片隅に置いておく価値があります。海外展開そのものを目指すかどうかは別として、「小さく試してから広げる」という発想や、「自分の店の強みは海外でも通用するか」という自問は、国内での開業戦略を考える際にも役立つはずです。遠い話のように見えて、実は足元の開業準備にもヒントを与えてくれるニュースだったと思います。
※開業ジャパン編集部の見解です。加盟・投資のご判断はご自身の調査・専門家への相談とあわせて行ってください。
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