開業前の準備

事業計画書テンプレートの書き方|そのまま使える無料フォーマットと記入例

2026/8/17 更新

事業計画書テンプレートの書き方|そのまま使える無料フォーマットと記入例

「事業計画書を書いてください」と言われて、白紙のワードを前に固まってしまう。開業相談でいちばん多い相談がこれです。

結論から言うと、事業計画書のテンプレートは自分で作る必要はありません。日本政策金融公庫(国が出資する金融機関。創業融資の窓口としてよく使われます)が「創業計画書」という様式を無料で公開しており、そこに書く欄も全部決まっています。この記事では、その8つの欄を書く順番と、実際のフランチャイズの数字を使った記入例をセットで紹介します。

事業計画書テンプレートは公庫の「創業計画書」を無料で使う

事業計画書のテンプレートを探すと、有料の商材や複雑なエクセルが山ほど出てきますが、初めての開業なら公庫の創業計画書1枚で十分です。理由は3つあります。

  • 無料でダウンロードできる(Excel・PDF)
  • 融資審査でそのまま使える。つまり審査側が見たい項目がすでに並んでいる
  • A3で1枚。書く量が決まっているので、途中で迷子にならない

記入例も公庫のサイトに業種別で載っています。様式や記入例は改定されることがあるので、最新版は必ず日本政策金融公庫の公式サイトで確認してください。

補助金の申請や、フランチャイズ本部への加盟申込みでも計画書を求められることがありますが、公庫様式で作った内容があれば、ほぼ流用できます。

8つの記入欄と、書くべき順番

テンプレートの欄は上から順に並んでいますが、上から順に書くと失敗します。数字が固まっていないのに動機から書き始めると、後で全部つじつまが合わなくなるからです。

欄内容書く順番
1創業の動機⑦ 最後に書く
2経営者の略歴等②
3取扱商品・サービス③
4取引先・取引関係等④
5従業員⑤
6お借入の状況① 最初に確認
7必要な資金と調達方法⑥
8事業の見通し(収支)⑥と同時

おすすめは、⑥「お借入の状況」を最初に確認 → 経歴・商品・取引先を埋める → 資金と収支を同時に作る → 最後に動機を書くという順番です。動機は「この数字を達成したい理由」なので、数字が出てから書いたほうが説得力が出ます。

記入例①:創業の動機・経歴(ここが一番差がつく)

第1欄と第2欄は文章です。ここで「昔からの夢でした」だけで終わると、読む側には何も残りません。

書くべきは**「なぜ自分がこの事業をできるのか」**の材料です。

弱い書き方

独立して自分の力を試したいと思い、開業を決意しました。

強い書き方

15年間、住宅設備の営業として地域の戸建てを担当し、顧客から「庭の手入れを頼める先がない」という相談を年間◯件受けてきた。この需要に、既存の人脈と車を使って個人で応えられると判断した。

ポイントは3つだけです。

  1. 前職の年数と職種を数字で書く(未経験なら、研修制度がある加盟先だと明記)
  2. その経験が新事業のどこに効くかを1文で結ぶ
  3. すでに持っているものを書く(車・工具・資格・顧客名簿・自宅の作業スペースなど)

地方在住で40〜50代の方は、この欄が最大の武器になります。同じ地域で長く働いてきた実績は、若い申込者には書けない内容です。

事業計画書の記入イメージ

記入例②:必要な資金と調達方法

第7欄は左右2列です。**左に「いくら要るか」、右に「どこから出すか」**を書き、左右の合計を必ず一致させます。ここが1円でもズレていると、それだけで印象が悪くなります。

左側は「設備資金」と「運転資金」に分けます。

区分中身記入例(無店舗の清掃系で開業する場合)
設備資金一度きりの支払い加盟金 30万円、車両・機材・研修費など
運転資金毎月出ていくお金燃料費・広告費・生活費 ×3〜6か月分

実在するブランドの数字で見てみます。お庭掃除のフランチャイズ「お掃除のえる」は、本部公表の初期費用が105万円〜、加盟金は30万円〜(キャンペーン適用時。通常は200万円)。店舗も事務所も不要で、自宅と車が拠点になるタイプです。

この場合、第7欄の左側はこうなります。

  • 設備資金:105万円(本部公表の初期費用一式)
  • 運転資金:生活費6か月分+当面の燃料・広告費 ※自分で計算する

運転資金を書き忘れる人が非常に多いです。開業してすぐ満額の売上は立ちません。「収入ゼロでも半年暮らせるか」を数字で示すと、審査側の安心材料になります。

右側の調達方法は「自己資金」と「借入」に分けます。自己資金の目安や融資の条件は制度によって変わるため、最新の要件は公庫や各制度の公式サイトで確認してください。

記入例③:事業の見通し(数字の作り方)

第8欄は「創業当初」と「軌道に乗った後(1年後など)」の2列を書きます。ここが審査でいちばん見られます。

先ほどのお掃除のえるの本部公表モデル(オーナー1名稼働)を、そのまま第8欄の形に置き換えるとこうなります。

項目金額(月)根拠
売上高132万円本部公表のモデル月商
ロイヤリティ▲33万円売上の25%
広告分担金▲10万円本部公表
その他経費▲約7万円本部公表
差引約82万円(利益率62%)本部公表

この82万円が何の数字なのか、必ず理解しておいてください。

  • 借入の返済前の金額です
  • 税金・社会保険料を払う前の金額です
  • 自分の人件費(給料)を含まない金額です

つまり、ここから返済と税金と生活費が出ていきます。手元にいくら残るかは、借入額と自分の生活費次第です。年商にすると1,584万円(編集部逆算)ですが、これは軌道に乗った後の想定であって、初月から出る数字ではありません。金額は本部公表値であり、時期・エリア・稼働状況によって変動します。

「創業当初」の列は、軌道に乗った後の5〜7割で置くのが現実的です。上の例なら月70〜90万円台の売上から始まる想定で書き、その根拠(開業まで最短1〜2ヶ月、本部の集客支援あり、など)を余白にメモしておきます。

審査で突っ込まれやすい3つのポイント

書き上げたら、この3点を自分でチェックしてください。相談を受けていて、返答に詰まる人が多い順です。

  1. 「その売上の根拠は?」 — 単価×件数×稼働日で分解できていますか。「月132万円」ではなく「単価2万円×月66件」のように言えると強いです
  2. 「借入の返済額を経費に入れていますか?」 — 第8欄の経費に返済は含みません。別途、毎月の返済額を差し引いて生活が回るか確認します
  3. 「自分の給料はどこ?」 — 個人事業なら差引利益がそのまま生活費の原資です。生活費が月30万円必要なら、差引がそれを下回る月が続くと詰みます

提出前に「下振れ版」をもう1枚作る

これは審査には出しませんが、自分用に必ず作ってください。

売上を7掛け(3割減)にした計画書をもう1枚作り、「返済と生活費が回るか」を見ます。回らない場合の打ち手は、だいたい次のどれかです。

  • 借入額を減らす(初期費用の安い業態に変える)
  • 開業前の貯蓄を増やして運転資金を厚くする
  • 副業・兼業期間を挟んで、いきなり収入ゼロにしない

計画書を出す前にこの1枚を作った人は、開業後に慌てません。むしろ、この下振れ版こそが本当の事業計画書だと思っています。

まとめ

  • テンプレートは公庫の創業計画書を無料でダウンロードすればOK
  • 書く順番は借入状況 → 経歴・商品 → 資金と収支 → 最後に動機
  • 第8欄の利益は返済前・税前・自分の人件費なし。ここを誤解しない
  • 提出前に売上7掛けの下振れ版を自分用に作る

数字の埋め方が分からない、という段階で止まっている方も多いはずです。フランチャイズに加盟する場合は、本部が初期費用・ロイヤリティ・モデル収支を公表しているので、それをそのまま第7欄・第8欄に写せば下書きが完成します。どの業態が自分の資金と経験に合うかは、フランチャイズ一覧から初期費用や必要資金で比べてみてください。

書きかけの計画書を見てほしい、この数字の根拠で通るか不安、という段階でしたら無料のLINE相談もあります。急がず、必要になったときにどうぞ。

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