開業の基礎

ラーメン屋は本当に儲かるのか|売上から手元に残るまでの内訳と年収のリアル

2026/8/15 更新

ラーメン屋は本当に儲かるのか|売上から手元に残るまでの内訳と年収のリアル

「ラーメン屋は儲かる」という話と、「ラーメン屋は3年で潰れる」という話。どちらもよく聞きます。なぜ正反対の評判が並ぶのかというと、多くの人が売上(月商)の話と、オーナーの手取り(年収)の話を混ぜて話しているからです。

この記事では、実際にフランチャイズ本部が公表している3ブランドの数字を使って、「月商◯◯万円」が「自分の手元に残る◯◯万円」になるまでの道のりを、途中の関門ごとに分解します。地方で初めてお店を持つことを考えている方が、電卓を叩けるようになることがゴールです。


ラーメン屋は儲かるのか|「月商300万円」と年収は別の話

まず前提を1つ。月商(げっしょう)=1ヶ月にお店のレジを通ったお金の合計です。あなたの給料ではありません。

たとえば月商300万円のラーメン屋があったとして、そこから麺・豚肉・野菜の仕入れ代、アルバイトの給料、家賃、ガス代、フランチャイズ本部に払うお金が順番に引かれます。残ったものが「営業利益」で、そこからさらに借金の返済と税金を払って、ようやくオーナーの生活費になります。

つまり「儲かるか」を判断するには、月商ではなく**内訳(ないやく)**を見るしかありません。以下、実データで追っていきます。

売上が手元に残るまでに通る5つの関門

ラーメン屋の売上は、だいたいこの順番で減っていきます。

関門何のお金かラーメン屋のおおよその重さ
① 原価(F)麺・スープ・チャーシュー・野菜などの材料費売上の約35%
② 人件費(L)アルバイト・社員の給料売上の約20〜27%
③ 家賃(R)店舗の賃料・共益費売上の約6〜10%が目安
④ その他経費水道光熱費・消耗品・広告費などガスと水を大量に使う業態
⑤ ロイヤリティフランチャイズに加盟した場合、本部へ払うお金売上の3〜5%など

飲食業界では①②③の合計をFLR比率と呼び、「売上の70%以内に収めたい」と言われます。ここが崩れると、どれだけお客さんが並んでも手元に残りません。

実データ①:油そば専門店の月次内訳を1円単位で見る

まずは内訳が細かく公表されている「新潟油そば柿川亭」(油そば専門店)を見てみます。油そばはスープを作らないぶん、ガス代と仕込みの手間を抑えられるのが特徴の業態です。

平均的な店舗のモデルは次の通りです。

項目金額売上に対する比率
月間客数1,750人―
客単価950円―
売上160万円100%
原価56万円35.0%
家賃10万円6.3%
水光熱費6万円3.8%
人件費30万円18.8%
ロイヤリティ12万円7.5%
経費計(上記+その他)65万円40.6%
営業利益39万円24.4%

出典:開業ジャパン掲載ブランド情報(新潟油そば柿川亭)

計算式は「売上160万円 − 原価56万円 − 経費計65万円 = 営業利益39万円」です。経費計65万円の中には、表に挙げた家賃・水光熱費・人件費・ロイヤリティ(合計58万円)のほかに、消耗品などのその他経費が含まれています。

注目してほしいのは、月商160万円という決して派手ではない数字でも、営業利益は39万円出ているという点です。ラーメン・麺類の商売は、月商の大きさより「1杯あたりいくら残るか」の設計で決まります。

なお同ブランドは、初期費用780万円、加盟金100万円(税抜)、ロイヤリティは「席数×4,000円+売上の3%」、モデル月商は120万〜210万円、月間利益は月14万円〜と公表されています。同じブランドでも立地と席数で結果は大きく変わるため、下限の「月14万円」も必ずセットで見てください。

お金の内訳をイメージしたのイメージ

実データ②:二郎系ラーメン2ブランドを並べて比べる

次に、いわゆる「二郎系」(麺と野菜を大盛りで提供するボリューム重視のラーメン)のフランチャイズ2つを比べます。

項目夢みてなんぼ豚ギャング
初期費用550万円650万円〜
加盟金100万円100万円
研修費100万円100万円
ロイヤリティ売上の5%売上の5%
モデル月商300〜500万円(20席想定)400〜500万円
モデル月間利益月60〜150万円月50〜80万円
平均店の月間売上375万円(客数100人/日)306万円(月間客数3,400人)
平均店の原価135万円107万円
平均店の人件費100万円公表なし
平均店の利益オーナー利益48万円営業利益54万円
投資回収4ヶ月〜1年1年

出典:開業ジャパン掲載ブランド情報(夢みてなんぼ/豚ギャング)

ここで大事なのは、「モデル月商」と「平均店の売上」がどちらも公表されていることです。夢みてなんぼはモデルが月商300〜500万円に対し、平均店は375万円。豚ギャングはモデルが400〜500万円に対し、平均店は306万円です。

つまり、モデルの数字はあくまで上振れした場合の姿で、実際の平均はその下限あたりに落ち着くことがある、ということ。資料でモデル数値しか出てこない本部があれば、「平均店の実績はいくらですか」と必ず聞いてください。これは加盟前の確認項目として最も重要なもののひとつです。

夢みてなんぼの平均店で計算すると、売上375万円 − 原価135万円 − 人件費100万円 = 140万円。ここからオーナー利益は48万円なので、差の約92万円が家賃・ロイヤリティ(5%で約19万円)・水道光熱費・その他経費に消えている計算になります。ラーメン屋は「原価と人件費を引いた後」からも、まだ大きく削られるという感覚を持っておくと、事業計画が現実的になります。

3ブランドに共通した数字|原価率35%と客単価900〜1,250円

3ブランドの公表値から比率を計算すると、きれいに揃う数字があります。

ブランド平均店売上原価原価率客単価(計算値)
柿川亭(油そば)160万円56万円35.0%950円
夢みてなんぼ375万円135万円36.0%約1,250円
豚ギャング306万円107万円35.0%約900円

※客単価は売上÷客数から計算した参考値です(夢みてなんぼは100人/日×30日で試算)。

原価率はどれも35%前後。客単価は900〜1,250円のレンジ。ここから逆算すると、あなたの店の目標月商は「客単価 × 1日の来店客数 × 営業日数」でしか作れないことが分かります。

たとえば客単価1,000円で月商300万円を狙うなら、月3,000人=1日100人(月30日営業)。10坪・15席のお店で1日100人ということは、昼夜の合計で席が6〜7回転する計算です。「その立地で、本当に毎日100人並ぶのか?」——事業計画で最初に検証すべきは、この1点です。

ラーメン屋の年収に直結する「営業利益の後」|返済と税金

営業利益はオーナーの年収ではありません。ここから、まだ2つ引かれます。

① 借入金の返済(元金) 初期費用650万円のうち500万円を7年(84回)で借りたとすると、元金だけで月約6万円。利息は別途かかります。ここがポイントなのですが、借入の元金返済は経費になりません。つまり「営業利益は出ているのに、通帳のお金は増えない」という状態が起こります。

② 税金と社会保険料 個人事業主なら所得税・住民税・国民健康保険料・個人事業税など。営業利益39万円/月(年468万円)がそのまま生活費になるわけではありません。

ざっくりした感覚として、こう捉えてください。

オーナーの年収 ≒(営業利益 × 12ヶ月)− 借入元金の年間返済額 − 税金・社会保険料

営業利益が月39万円のケースなら、年468万円から返済72万円を引いて396万円。ここから税金と社会保険料を払った残りが手取りです。**月50万円の営業利益は、体感として「会社員の年収400〜500万円クラス」**というのが現実的な見立てになります。

なお、融資制度や税率、補助金の条件は年度によって変わります。金額や要件は必ず日本政策金融公庫や自治体、国税庁などの公式サイトで最新情報を確認してください。

全国499,193事業所の中で選ばれるには|立地と契約の確認項目

飲食店の全国の事業所数は、499,193事業所あります。

出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和3年経済センサス-活動調査」を加工して作成

約50万軒。ラーメン屋はその一部ですが、「近所に競合がいない」という前提はまず成り立ちません。だからこそ、味と同じかそれ以上に立地条件が数字を決めます。

たとえば豚ギャングは出店条件として「1階路面店/10坪前後/家賃25万円以下/駅乗降者数5万人以上」を挙げています。この「家賃25万円以下」という上限が、そのまま前述のFLR比率を守るための防波堤になっているわけです。地方で開業する場合は、駅の乗降者数の代わりに駐車場の台数と幹線道路の交通量が同じ役割を果たします。

そして、フランチャイズを検討するなら契約前にここを確認してください。

  • 平均店の実績(モデル数値ではなく、実際の平均月商・平均利益)
  • ロイヤリティの計算方式(売上比例か、席数などの固定額か、その併用か)
  • 食材の仕入れ条件(本部からの仕入れが必須か、価格改定のルールはあるか)
  • 契約期間と中途解約の条件(違約金の有無と金額)
  • 閉店した加盟店の数と理由

特にロイヤリティの方式は要注意です。柿川亭のような「席数×固定額+売上の3%」型は、売上が落ちた月でも固定分が発生します。逆に売上比例型は、売れなければ負担も減ります。どちらが良い悪いではなく、自分の想定する売上の波に合うのはどちらかという判断です。

開業前に、数字で確認したい7つのこと

最後に、この記事の内容をチェックリストにまとめます。

  1. 目標月商を「客単価 × 1日の客数 × 営業日数」で分解したか
  2. その客数が、候補物件の前を歩く人・走る車の数から見て現実的か
  3. 原価率を35%前後で計算しているか
  4. 家賃を売上目標の10%以内に収めているか
  5. FLR(原価+人件費+家賃)が売上の70%以内に収まっているか
  6. 借入の元金返済を、営業利益から引いた後で生活できるか
  7. 売上がモデルの下限だった場合(例:月商120万円)でも赤字にならないか

7番目が一番大切です。上振れした時の計画ではなく、下振れした時に生き残れる計画を作った人が、結果として長く続けています。


ラーメン屋は、原価率35%・営業利益率20%前後という構造がはっきりしている商売です。裏を返せば、数字を先に組み立てれば「自分の場合どうなるか」を開業前に相当なところまで見通せる、ということでもあります。

「自分が考えている立地で、この数字が成り立つのか計算してみたい」「二郎系と油そば、どちらのオペレーションが自分に向いているか整理したい」——そんな段階でしたら、無料のLINE相談で気軽に聞いてみてください。まだ物件も資金も決まっていない状態で構いません。むしろ、契約書にサインする前が一番相談の価値がある時期です。

各ブランドの初期費用・ロイヤリティ・モデル収支を並べて見比べたい方は、フランチャイズ一覧からチェックしてみてください。この記事で紹介した3ブランドの詳しい条件も掲載しています。

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