フランチャイズ契約書に署名する前に確認するのは、12項目だけです。たとえば掲載中の「お掃除のノエル」なら、初期費用105万円・加盟金30万円(キャンペーン適用時。通常200万円)・ロイヤリティ売上の25%。この3つの数字が契約書のどの条文に、どんな条件つきで書いてあるかを突き合わせるところから始めます。
この記事は条項の意味を解説するものではなく、手元の契約書に赤ペンで書き込むためのチェックリストです。条項そのものの意味を先に知りたい方はフランチャイズ契約とは|契約書で最初に見るべき条項を10項目で解説を先に読んでください。
フランチャイズ契約書のチェックリスト|12項目に「いくら・何年・誰が決める」を書き込む
契約書は30〜60ページになることもありますが、最初から順に読む必要はありません。次の12項目を抜き出し、それぞれに**「いくら」「何年」「誰が決める」**の3つを書き込みます。書き込めた項目は理解できている項目、書き込めない項目が確認すべき項目です。
| No | 確認項目 | 書き込む内容 | 空欄・曖昧なら危険 |
|---|---|---|---|
| 1 | 契約当事者・対象店舗 | 契約するのは個人か法人か、店舗の住所は特定されているか | 出店場所が「後日決定」のまま署名 |
| 2 | 初期に払う金銭の総額 | 加盟金・保証金・研修費・機材費の合計と、返還の有無 | 「別途見積」「実費」だけの記載 |
| 3 | ロイヤリティの算定基準 | 何に対して何%か(売上か粗利か、税込か税抜か) | 率だけ書かれ、母数の定義がない |
| 4 | 最低保証額(ミニマム) | 売上が低い月でも払う下限額 | 下限があるのに説明資料に載っていない |
| 5 | 毎月の追加費用 | 広告分担金・システム利用料・保険料の月額 | 「本部が定める額」とだけ書かれている |
| 6 | 仕入先の指定 | 指定品目と、価格を変更する手続き | 本部が一方的に価格改定できる書き方 |
| 7 | 契約期間・更新 | 年数、自動更新か、更新料の金額 | 更新条件が「本部が定める」 |
| 8 | 中途解約 | やめられるか、予告期間、違約金の計算式 | 残存期間のロイヤリティ全額請求 |
| 9 | 本部からの解除事由 | どんな行為が解除にあたるか | 「本部が不適当と認めたとき」 |
| 10 | テリトリー | 近隣出店の制限範囲、ネット受注は誰の売上か | 「保証しない」+立地判断は加盟店責任 |
| 11 | 競業避止義務 | 終了後の年数・地域・対象者(家族を含むか) | 期間も地域も無制限 |
| 12 | 譲渡・承継 | 売却や家族への引き継ぎができるか | 本部の承諾要件が事実上不可能 |
1人で読むのが不安なときは 無料LINE相談で、この12項目のどこから見ればいいかだけでも整理できます。加盟を勧めるためのものではないので、判断材料が足りないと感じた段階で気軽に使ってください。
署名前の3ステップ|持ち帰る・書き込む・第三者に見せる
やることは3つだけです。
- 持ち帰って最低1週間は手元に置く。 説明会や面談のその場で署名を求められる契約は、内容以前に、その進め方自体が判断材料になります。
- 12項目に数字を書き込む。 1項目あたり数分、全部で2時間ほどで終わります。
- 加盟を勧める立場にない人に見せる。 弁護士・中小企業診断士・商工会議所の相談窓口など。手元でざっと当たりをつけたい場合はFC契約書チェックの使い方も使えます。
なお契約書より先に、**法定開示書面(情報開示書面)**を受け取っているかも確認してください。中小小売商業振興法では、小売業・飲食業の一定のフランチャイズについて、本部が契約前に所定の事項を書面で示すことが義務づけられています。制度の適用範囲や記載事項は改正されることがあるため、最新情報は中小企業庁・公正取引委員会の公式サイトで確認してください。

記入例|初期費用105万円・ロイヤリティ25%の契約書だとこうなる
実際の数字で埋めるとどう見えるかを、掲載データを使って示します。お掃除のノエルの公表条件は、初期費用105万円〜・加盟金30万円〜(キャンペーン適用時、通常200万円)・ロイヤリティ売上の25%・モデル月商132万円で手取り約32万円(利益率62%・オーナー1名稼働モデル)です。
| No | 項目 | 書き込む値 | 契約書で確かめること |
|---|---|---|---|
| 2 | 初期費用 | 105万円(加盟金30万円を含む) | 残り75万円の内訳(資材・機材・研修・広告)が明細で出ているか |
| 2 | 加盟金の割引 | 30万円(通常200万円) | 適用条件と期限。早期解約時に差額170万円を請求する条項がないか |
| 3 | ロイヤリティ | 売上の25% | 母数は税込か税抜か。材料費を引く前か後か |
| 4 | 最低保証額 | ここに下限額を書く | 記載がなければ「なし」と書面で確認 |
月商132万円なら、売上の25%で月33.0万円が本部への支払いです(編集部計算)。ここから読み取れるのは、ロイヤリティの母数の定義がずれるだけで、毎月の支払いが数万円単位で変わるということです。
- 月商132万円(税抜)の25% → 33.0万円
- 同じ売上を税込146万円として計算した場合の25% → 36.3万円(編集部逆算)
差は月3.3万円、年で約40万円。契約書に「売上(消費税を含む)」と書いてあるか、「消費税を除く」と書いてあるかだけの違いです。
※上記はいずれも返済前・税前の金額で、オーナー自身の人件費は含みません。返済額は借入条件により異なります。 ※本部公表のモデル収支は一例であり、その額が約束されたものではありません。 ※金額・条件は本部公表値で時期により変動します。最新情報はお掃除のノエルの掲載ページと本部の公式資料で確認してください。
そのまま送れる質問文12本
空欄が残った項目は、口頭ではなくメールなど文字が残る形で質問します。以下はそのままコピーして使える文面です。
| No | 質問文 |
|---|---|
| 1 | 契約書に記載される店舗住所は、いつの時点で確定しますか。確定前に署名する場合、後から変更する手続きを教えてください。 |
| 2 | 契約時から開業までに支払う金銭を、名目・金額・支払時期の一覧でいただけますか。 |
| 3 | ロイヤリティの算定基準となる「売上」の定義を、消費税・値引き・材料費の扱いを含めて条文の文言で教えてください。 |
| 4 | 最低保証額(ミニマムロイヤリティ)の定めはありますか。ある場合は金額と適用条件を教えてください。 |
| 5 | 毎月固定でかかる本部への支払いを、ロイヤリティ以外にすべて挙げてください。 |
| 6 | 指定仕入品の価格を改定する場合、事前通知の期間と手続きはどうなりますか。 |
| 7 | 更新時の更新料と、契約条件が変更される可能性のある項目を教えてください。 |
| 8 | 加盟者から中途解約する場合の予告期間と、違約金の計算式を数字の例つきで教えてください。 |
| 9 | 本部が契約を解除できる事由について、過去に実際に解除した事例を差し支えない範囲で教えてください。 |
| 10 | 近隣への出店制限の範囲と、直営店にも適用されるかを教えてください。ネット・電話経由の受注は誰の売上になりますか。 |
| 11 | 契約終了後の競業避止義務について、期間・地域・対象者(配偶者や親族を含むか)を教えてください。 |
| 12 | 事業を第三者に譲渡する場合、また家族が承継する場合の条件を教えてください。 |
質問と一緒に、直近3年の加盟店の解約・閉店件数も聞いておくと判断材料が増えます。説明会での聞き方はFC説明会の質問チェックリスト30の使い方にまとめてあります。
空欄が3つ以上残ったら、その日は署名しない
12項目を埋めたあと、次のように扱います。
| 状態 | 判断 |
|---|---|
| 12項目すべて数字か年数で埋まった | 内容の良し悪しを検討する段階に進める |
| 空欄が1〜2個 | 書面で質問し、回答が来てから再判断 |
| 空欄が3個以上 | 署名しない。判断材料そのものが足りていない |
| 「本部が定める」が3個以上 | 契約後に条件が変わりうる範囲が広い。個別に確認 |
とくに注意したいのは、8番(中途解約)と11番(競業避止)が空欄のまま署名するパターンです。この2つはうまくいっているときには一度も読まない条項で、効いてくるのは想定より売れなかったとき、家庭の事情で続けられなくなったとき、別の仕事に移りたくなったときだけ。調子のいい説明を聞いた直後ほど、この2項目を確認する価値があります。撤退に至る実例はフランチャイズで失敗する人の共通点でも扱っています。
説明資料と契約書が食い違ったときの直し方
パンフレットや説明会の口頭説明と、契約書の条文が違うことは珍しくありません。このとき効力を持つのは契約書のほうです。多くの契約書には「本契約に定めのない事項」「本契約が両者の合意のすべてである」といった条項が入っており、口頭の約束は残りません。
食い違いを見つけたら、次のどれかで処理します。
- 契約書の本文を修正してもらう
- 覚書・特約として書面を1枚追加してもらう
- どちらも難しい場合、その条件は「無い」前提で収支を計算し直す
3番が現実的な落としどころになることも多いです。たとえば「集客は本部が支援します」と説明されても条文に回数や内容の定めがなければ、それは義務ではありません。支援がゼロでも回る数字になっているかをFC投資回収シミュレーターで試算しておくと、判断がぶれません。
署名したあとに必ずやること
署名して終わりではありません。次の3つを同じ日のうちに済ませてください。
- 自分が署名した契約書の原本(または写し)を必ず受け取る。 「後日送ります」で終わり、手元に契約書がないまま営業しているケースがあります。
- 支払った金銭の領収書と、金額の内訳書を保管する。
- 本部とのやり取りをメールに集約する。 電話で決まったことは、その日のうちに「本日の確認事項です」とメールで送って記録に残します。
契約書は、うまくいっているあいだは一度も開かない書類です。だからこそ、開かなければならない日が来たときに備えて、12項目に自分の字で数字が入っている状態にしておいてください。
本文中の金額・条件は本部公表値であり、時期により変動します。加盟を検討する際は必ず最新の公式資料で確認してください。
条件を公表しているかどうか自体が、契約書を読む前の最初の判断材料になります。加盟金・ロイヤリティ・初期費用を並べて比べたい方は、フランチャイズ一覧から確認してみてください。
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