フランチャイズのロイヤリティ相場は、金額の大小より「方式」で決まります。掲載中のエクシア(セルフホワイトニング)は機材1台あたり月55,000円の定額・売上歩合なし。一方、お掃除のノエルは売上の25%。同じ月商132万円でも本部への支払いは5.5万円と33万円、差は月27.5万円です。
年に直すと330万円。つまり「ロイヤリティ○%は高いか安いか」という問いは、方式と業態をそろえないと答えが出ません。この記事では、ロイヤリティの相場を3つの方式に分けて整理し、自分の想定売上を入れて計算する手順まで通して説明します。
フランチャイズのロイヤリティ相場|3方式の金額レンジを1枚で
ロイヤリティ(継続的に払うブランド・ノウハウの使用料)の決め方は、大きく3つです。まず結論の表を置きます。
| 方式 | 計算の基準 | よくある水準(編集部整理) | 掲載ブランドの実例 |
|---|---|---|---|
| 定額制 | 売上と無関係な固定額。機材1台・席数・店舗数などの単位あたりで決まることもある | 月3万〜10万円台が中心 | エクシア:機材1台あたり月55,000円(売上歩合なし) |
| 売上歩合制 | 月商 × 一定率 | 売上の3〜10%が中心。無店舗・訪問型の役務業では20%台の例もある | ニキビ研究所:売上の10% / お掃除のノエル:売上の25% |
| 粗利分配方式 | (売上−売上原価)× 一定率 | 売上総利益に対して数十%。コンビニ型で採用 | セブンイレブン:契約タイプで率が変わる |
※「よくある水準」は掲載ブランドと各社の公表資料から編集部が整理した目安です。業種・本部・契約タイプによって大きく外れる例があり、相場表は当たりをつけるためのものです。自分が検討している本部の実数値は必ず契約書と本部資料で確認してください。
この表で覚えてほしいのは、率の数字ではなく**「何に掛かるか」**です。
- 定額制 … 売上が伸びても払いは増えない。売上が落ちても減らない
- 売上歩合制 … 売上に連動する。原価が高い業態では実質負担が重くなる
- 粗利分配方式 … 原価を引いた後に掛かる。率が同じなら3方式でいちばん重くなりやすい
自分の候補地だとどの方式が有利か迷ったときは 無料LINE相談で、想定している業種・自己資金・住んでいる都道府県の3つを送ってもらえれば、上の表のどの行から考えるべきかを一緒に整理します。加盟を決めていない段階のほうが、相談の価値はあります。
方式①定額制——エクシアの「機材1台あたり月55,000円」を分解する
定額制は、売上がいくらでも支払額が変わらない方式です。掲載中のエクシアが分かりやすい実例なので、公表値をそのまま並べます。
| 項目 | エクシア(セルフホワイトニング)の本部公表値 |
|---|---|
| 初期費用 | 400万〜500万円 |
| 加盟金 | 110万円(税抜) |
| ロイヤリティ | 機材1台あたり月55,000円(定額)。売上歩合なし |
| 本部資料のモデル月間利益 | 月40万〜50万円 |
| モデルの前提 | 平均的な店舗〜繁盛店。本部自身が「良くない店舗は赤字の想定もある」と示している |
※金額は本部公表値で、時期により変動します。最新条件はエクシアの掲載ページと本部の公式資料で確認してください。本部モデルは一例であり、達成が約束された数字ではありません。
ここで注目すべきは、**課金の単位が「売上」ではなく「機材の台数」**だという点です。セルフホワイトニングは施術原価が1回250円程度と非常に軽く、料金は月額1万円通い放題というサブスク型。機材が空いている時間に客が入るほど、1台あたりの売上は増えていきます。
つまりこの方式では、稼働率を上げた分がそのまま自分の利益になります。売上が2倍になっても本部への支払いは55,000円のままです。
一方で、逆向きのリスクもはっきりしています。
- 客が集まらない月も55,000円は満額かかる(2台なら11万円)
- 台数を増やすと固定費も比例して増える。3台入れたら月16.5万円が毎月出ていく
- 売上ゼロの月でも支払いは発生する
定額制は「軌道に乗ったときに強く、立ち上がりが遅いときに重い」方式です。開業当初の数ヶ月を赤字で走る前提なら、そのあいだに払い続ける定額分を運転資金に必ず入れておく必要があります。
なお、定額制は必ずしも「月○円」という一本の形ではありません。カフェ業態では席数に応じて課金する方式もあり、掲載中のカフェFCの例はカフェのフランチャイズは儲かる?席数課金ロイヤリティで扱っています。コメダ珈琲のように席数が支払額に直結する設計だと、大箱にすればするほど固定費が増えるため、席の埋まり方が採算を決めます(コメダ珈琲のオーナー年収)。
方式②売上歩合制——「率」より先に原価率を見る
売上歩合制は、月商に率を掛ける方式です。いちばん数が多く、相場の話でよく出てくるのもこの方式です。
ただし同じ率でも、業態によって痛み方がまったく違います。理由は原価率です。
| 業態イメージ | 原価率の目安 | 売上100万円のときの粗利 | ロイヤリティ10%の重さ |
|---|---|---|---|
| 役務型(清掃・トリミング・ホワイトニング等) | 5%前後 | 約95万円 | 粗利の約10.5% |
| 飲食(原価30%前後) | 30%前後 | 約70万円 | 粗利の約14.3% |
| 物販(原価60%前後) | 60%前後 | 約40万円 | 粗利の25.0% |
(編集部逆算。原価率は業態の一般的な水準を仮置きしたもので、個別の本部条件ではありません)
物販で「売上の10%」は、粗利の4分の1が消えるのと同じ意味になります。だから原価が重い業態では歩合率が低めに設定され、原価が軽い役務型では20%台の歩合でも成り立つという関係があります。お掃除のノエルの売上25%という数字は、単体で見ると高く感じますが、原価率5%前後の清掃業だからこそ置ける率です。
「サロンの原価率」で調べている方向けに補足すると、サロン系(美容・ネイル・ホワイトニング)は材料費が売上の5〜10%程度に収まる業態が多く、その代わり人件費と家賃が固定費として重い構造です。原価が軽いからロイヤリティ率が高く見える、というのは業態の性質であり、割高の証拠ではありません。判断はロイヤリティ単体ではなく、家賃・人件費まで足した固定費の合計で行ってください。数字の並べ方はネイルサロンは儲かるのかが参考になります。
もうひとつ、歩合制で見落としやすいのが最低保証額(ミニマムロイヤリティ)です。「売上の10%、ただし月額最低8万円」という条項が入っていると、月商が80万円を下回った瞬間から実質は定額制に切り替わります。契約書で歩合の条文を読むときは、率のすぐ下に最低額の但し書きがないかを必ず確認してください。

方式③粗利分配方式——同じ率でも負担がいちばん重くなる理由
粗利分配方式は、「売上−売上原価=売上総利益(粗利)」に率を掛ける方式です。コンビニFCが代表例で、セブンイレブンでは契約タイプによって率が変わります。
この方式が分かりにくい理由は、基準になる粗利の計算に本部の仕入システムが絡む点です。
- 仕入は本部指定。仕入値を自分で下げる余地が小さい
- 廃棄した商品の原価が粗利計算から差し引かれるか(廃棄ロスを誰が負担するか)で、実際の負担が変わる
- 仕入代金を本部が立て替える仕組み(オープンアカウント)があると、帳簿上の利益と手元の現金がずれる
3つ目は特に重要で、黒字なのに現金が足りないという事故につながります。仕組みそのものはセブンイレブンのオープンアカウントとはで、契約タイプによる手取りの差はセブンイレブンのオーナー年収で詳しく分解しています。
粗利分配方式で契約書に確認する項目は次の4つです。
- 粗利の定義(何を売上原価に含めるか。廃棄・棚卸ロスの扱い)
- 率が変わる条件(契約タイプ、土地建物を誰が用意するか、営業年数)
- 本部が立て替える仕入代金の精算方法と金利相当の負担
- 本部負担になっている費用(水道光熱費の一部負担など、率の高さと引き換えの条件)
4つ目は見落とされがちですが、粗利分配の率が高い契約は、その代わりに本部が設備や光熱費の一部を負担している場合があります。率だけを他方式と並べても比較になりません。
同じ月商132万円で、3方式の負担を計算して並べる
ここまでの3方式を、同じ条件で計算します。お掃除のノエルの本部モデル(月商132万円)を共通の土台にします。
| ロイヤリティ方式 | 計算式 | 月商132万円のとき | 月商が半分(66万円)のとき | 売上ゼロの月 |
|---|---|---|---|---|
| 定額制(エクシアの実額・1台) | 固定 | 5.5万円 | 5.5万円 | 5.5万円 |
| 売上歩合10%(ニキビ研究所の実率) | 132万 × 10% | 13.2万円 | 6.6万円 | 0円 |
| 売上歩合25%(ノエルの実率) | 132万 × 25% | 33.0万円 | 16.5万円 | 0円 |
| 粗利分配40%・原価率30%(仮) | (132万−39.6万)× 40% | 37.0万円 | 18.5万円 | 0円 |
| 粗利分配40%・原価率5%(仮) | (132万−6.6万)× 40% | 50.2万円 | 25.1万円 | 0円 |
※定額制と歩合10%・25%は各ブランドの本部公表値、粗利分配の40%は方式の違いを示すための仮置きです(編集部逆算)。ブランドを横断して条件をそろえた比較ではありません。
読み取ってほしいのは2点です。
1つめ。ロイヤリティ以外の経費が同じなら、手取りの差はロイヤリティの差そのままです。 月商132万円で定額5.5万円と歩合25%の33万円を比べると、差は月27.5万円、年330万円。この差は努力ではなく契約書の1行で決まります。
2つめ。悪い月の効き方が正反対です。 売上が半分になったとき、歩合制の負担も半分になりますが、定額制は1円も減りません。逆に売上が伸びる局面では定額制が有利になります。「自分は右肩上がりを取りたいのか、悪い月の耐久力を取りたいのか」——この選択が方式選びの本質です。方式そのものの損得比較はフランチャイズのロイヤリティとは?定額制と歩合制、どっちが得かでも掘り下げています。
手取りベースで並べるとこうなる
ロイヤリティを払った後、実際にいくら残るのか。本部が公表しているモデルを、行をそろえて並べます。
| 行 | エクシア(定額制) | お掃除のノエル(売上歩合25%) |
|---|---|---|
| モデル月商 | 本部未公表 | 132万円 |
| ロイヤリティ | 月55,000円/台(定額) | 33.0万円(売上の25%) |
| 返済前・税前に残る額 | 月40万〜50万円 | 約32万円 |
| 返済後に残る額 | 本部未公表(返済額は加盟者ごと) | 本部未公表(同左) |
| 自分の人件費の扱い | 含まず(オーナー稼働前提) | 含まず(オーナー1名稼働モデル) |
| 初期費用 | 400万〜500万円 | 105万円 |
※いずれも本部公表値。借入返済と税金は上の金額からさらに引かれ、オーナー自身の人件費は入っていません。 エクシアは本部自身が「良くない店舗は赤字の想定もある」と示しています。最新条件はエクシア・お掃除のノエルの掲載ページで確認してください。
初期費用が4〜5倍違うので、「どちらが得か」は残る額だけでは決まりません。回収期間まで含めた見方はFC投資回収シミュレーターの使い方で手順化しています。
ロイヤリティ以外に毎月引かれる「第二のロイヤリティ」
相場を調べる人がいちばん損をしやすいのが、ここです。ロイヤリティの率が低い本部ほど、別名目の月額が多いことがあります。名前が違うだけで、毎月出ていくお金という点では同じです。
| 名目 | 中身 | 確認すること |
|---|---|---|
| 広告分担金・販促協力金 | 全国広告やチラシの負担 | 定額か売上比例か。使途の報告義務が条文にあるか |
| システム利用料・POSレンタル | 受発注・レジ・予約システム | 月額と、解約時の残債 |
| 資材・商材の指定仕入 | 本部指定の材料を本部から買う | 仕入値に本部の利益が乗る。他社から買えるか、価格改定は誰が決めるか |
| 機材リース料 | 施術機器・厨房機器 | リース期間と、途中解約時の残額 |
| 研修費(継続分) | 年次研修、フォローアップ | 参加が義務か、費用は誰持ちか |
| 保険料 | 賠償責任保険など | 本部指定の保険か |
| 更新料 | 契約更新時に一括 | 金額が空欄になっていないか |
チェックの仕方はシンプルです。「毎月、本部および本部指定先に出ていくお金を全部足す」。ロイヤリティ8%とシステム料3万円と広告分担金2%が別々に書かれていたら、月商100万円なら合計13万円。これを月商で割り戻すと実質13%です。この実質率で他社と比べてください。
指定仕入は特に見えづらい部分です。仕入値が市場価格より高く設定されていれば、それは実質的なロイヤリティの上乗せになります。契約前に、主要な資材の単価表をもらって一般の流通価格と突き合わせておくと安心です。聞き方はFC説明会の質問チェックリスト30にまとめています。
自分の数字でロイヤリティを計算する4ステップ
最後に、資料を受け取ったその日にできる手順です。電卓とA4用紙1枚で終わります。
ステップ1|基準を確認する(何に掛かるか) 契約書または資料で「ロイヤリティの算定基礎」を探します。売上高なのか、売上総利益なのか、固定額なのか。ここが読み取れない資料は、それ自体が判断材料です。 「別途定める」と書かれていたら、契約後に決まる=交渉の余地がないという意味になります。
ステップ2|3つの売上シナリオで計算する 想定月商を3つ作ります。①本部モデルの月商、②その70%、③その50%。この3つでロイヤリティ額を出します。悪いシナリオでの支払額が、その契約の本当の重さです。
ステップ3|別名目の月額を全部足して実質率を出す (ロイヤリティ + 広告分担金 + システム料 + リース料)÷ 月商 = 実質率。これを候補ブランド同士で比べます。
ステップ4|支払日と運転資金を突き合わせる 月末締め翌月末払いなのか、翌月10日払いなのか。売上の入金が翌月末で支払いが翌月10日なら、その20日分を自己資金で立て替える必要があります。ここを飛ばすと黒字倒産に近い状態になります。資金の流れは資金繰り表の作り方の手順が使えます。
契約書のロイヤリティ条項で必ず読む6行
| 読む箇所 | 危険なサイン |
|---|---|
| 算定基礎(売上高/売上総利益/定額) | 「別途定める」とだけ書かれている |
| 率または金額 | 数字が空欄、覚書に逃がしてある |
| 最低保証額 | 最低額が想定月商に近い(実質定額制) |
| 改定条項 | 本部が一方的に率を変更できる書き方 |
| 締め日と支払日 | 入金より支払いが先に来る設計 |
| 滞納時の扱い | 遅延損害金の率、即時解除の条件 |
条文の全体像はフランチャイズ契約とは|契約書で最初に見るべき条項を10項目に整理してあります。加盟金との違いがあいまいな方はフランチャイズの加盟金とは?も先に読んでおくと混乱しません。
まとめ|相場表は入口、判断は「悪い月の支払額」で
ロイヤリティ相場の話は、どうしても「何%が普通か」に寄りがちです。しかし実際に効くのは次の3つでした。
- 方式(何に掛かるか)。 定額制は伸びに強く落ち込みに弱い。歩合制は逆。粗利分配は原価と廃棄の扱いで負担が動く
- 実質率(別名目を全部足した額)。 表向きの率が低くても、システム料と指定仕入で逆転することがある
- 悪い月の支払額。 月商が半分になった月にいくら払うのか。ここで生活が回るかどうかが、続けられるかの分かれ目
無店舗型・訪問型で開業を考えている方は、歩合率が高めに設定されている代わりに初期費用が軽い、という組み合わせが多い点も押さえておいてください。物件費がかからない業態の並べ方は店舗なしで開業できる仕事7選にまとめています。
本文中の金額・条件はすべて本部公表値で、時期により変動します。加盟を検討する際は必ず最新の公式資料と契約書で確認してください。
どのブランドがどの方式を採っているかを実際に並べて見たい方は、フランチャイズ一覧から加盟金・ロイヤリティ・初期費用を比べてみてください。方式と金額を公表しているかどうか自体が、最初の判断材料になります。 数字の読み方で迷ったときは無料LINE相談でも受け付けています。急ぐ必要はないので、判断材料が足りないと感じたときにだけ使ってください。
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