飲食フランチャイズの年収を業態別に比較|返済前・税前で月14万〜300万円
先に数字から書きます。飲食フランチャイズ(以下FC)の本部が公表しているモデル値では、オーナーの手元に向かう額は返済前・税前で月14万円から月300万円。年収に直すと約468万円から約3,228万円までの開きになります。
同じ「飲食のFC」でこれだけ差がつく理由は、業態の人気ではありません。投資額・原価率・ロイヤリティの方式という3つの数字でほぼ説明できます。まず横並びで見てください。
| 新潟油そば柿川亭(ラーメン・麺) | 大衆酒場 むに(居酒屋) | 大衆酒泉テルマエ(大衆酒場) | ジェリーの謎解きカフェ(地方都市・全日) | |
|---|---|---|---|---|
| モデル月商 | 120万〜210万円(平均店160万円) | 1,200万円(平均店1,224万円) | 600万〜1,200万円(平均店829万円) | 173.2万円 |
| 返済前・税前に残る額 | 月14万円〜(平均店39万円) | 月300万円(平均店269万円) | 月120〜240万円(平均店155万円) | 月69.5万円 |
| 返済後に残る額 | 本部未公表 | 本部未公表 | 本部未公表 | 本部未公表 |
| 自分の人件費の扱い | 本部未公表(要確認) | 本部未公表(同) | 本部未公表(同) | 本部未公表(同) |
| 年収換算(編集部逆算) | 約468万円 | 約3,228万円 | 約1,860万円 | 約834万円 |
| 利益率(平均店) | 24.4% | 22.0% | 18.7% | 40.1% |
| 原価率 | 35.0% | 32.7% | 21.0% | 約15%(本部資料) |
| 初期費用 | 780万円 | 1,630万円 | 1,926万円 | 約930万円 |
| 加盟金 | 100万円(税抜) | 150万円 | 300万円 | 150万円 |
| ロイヤリティ | 席数×4,000円+売上の3% | 売上の5% | 売上の3% | 席数×3,000円+システム費3万円+キット700円 |
| 本部公表の回収目安 | 1年〜1年半 | 1年 | 半年〜1年半 | 約1年1ヶ月〜1年3ヶ月 |
出典:各本部公表値(2026年9月時点)。金額は時期により変動します。最新情報は必ず公式サイトで確認してください。 → 新潟油そば柿川亭 / 大衆酒場 むに / 大衆酒泉テルマエ / ジェリーの謎解きカフェ
2行目をあえて「利益」と呼ばず返済前・税前に残る額と書いています。本部のモデル利益は、ふつう借入の返済と税金を引く前の数字です。ここから毎月の返済と翌年の税金が出ていきます。「月269万円」をそのまま年収3,228万円と読むと、判断を間違えます。
投資100万円あたりで並べ替えると、順位が変わる(編集部逆算)
年収の額で並べると、いちばん投資の重い居酒屋が一番よく見えます。そこで「投資100万円につき、毎月いくら残るか」に直してみます。これは編集部が平均店の利益を初期費用で割った逆算値です。
| ブランド | 初期費用 | 平均店の月利益 | 投資100万円あたり月 | 逆算の回収月数 |
|---|---|---|---|---|
| 大衆酒場 むに | 1,630万円 | 269万円 | 16.5万円 | 約6.1ヶ月 |
| 謎解きカフェ(週末運営・地方) | 330万円 | 41.9万円 | 12.7万円 | 約7.9ヶ月 |
| 大衆酒泉テルマエ | 1,926万円 | 155万円 | 8.0万円 | 約12.4ヶ月 |
| 謎解きカフェ(全日運営・地方) | 約930万円 | 69.5万円 | 7.5万円 | 約13.4ヶ月 |
| 新潟油そば柿川亭 | 780万円 | 39万円 | 5.0万円 | 約20.0ヶ月 |
(編集部逆算。利益は返済前・税前。実際の回収は運転資金や季節変動で変わります)
年収の額では4番目だった週末運営のカフェが、投資効率では2位に上がります。逆に、いちばん少額で始められそうに見えた柿川亭が、投資効率では最下位です。手元の自己資金が限られている人にとって意味があるのは、右側の2列です。
もうひとつ気づいてほしいのは、柿川亭の逆算回収が20ヶ月なのに、本部公表の回収目安は「1年〜1年半」だという点です。矛盾ではなく、本部が月商の上限(210万円)に近い店を前提にしている可能性が高いということです。だから面談では「その回収目安は月商いくらの前提ですか」と聞いてください。
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内訳を分解する|月商160万円の油そば店から39万円が残るまで
一番イメージしやすい小箱の業態から追います。柿川亭の平均的な店舗のモデルです。

| 項目 | 金額 | 売上に対する比率 |
|---|---|---|
| 月間客数 | 1,750人 | — |
| 客単価 | 950円 | — |
| 売上 | 160万円 | 100% |
| 原価(食材) | 56万円 | 35.0% |
| 人件費 | 30万円 | 18.8% |
| 家賃 | 10万円 | 6.3% |
| 水道光熱費 | 6万円 | 3.8% |
| ロイヤリティ | 12万円 | 7.5% |
| その他経費 | 7万円 | 4.4% |
| 営業利益 | 39万円 | 24.4% |
(経費計65万円=人件費・家賃・水光熱・ロイヤリティ・その他の合計)
飲食では原価と人件費の合計(FL比率)を60%以内に収めるのが目安とされます。この店は35.0%+18.8%=53.8%で収まっています。FL比率の基本は飲食店のフランチャイズは儲かる?でまとめているので、詳しく知りたい方はそちらへ。
注目すべきは家賃10万円という数字です。月商160万円に対して6.3%。都市部の同じ坪数だと家賃が20万円を超えることは珍しくなく、その差10万円はそのまま利益から消えます(39万円→29万円/編集部逆算)。地方在住であることは、この業態では不利ではなくむしろ有利です。
なお、この業態が人件費18.8%で回る理由は「スープを作らない」ことです。油そばは仕込みがチャーシュー加熱とネギ切り中心で、アルバイトだけでも運営できる設計になっています。ラーメン業態そのものの収益構造はラーメンのフランチャイズは儲かる?で詳しく分解しています。
下振れはどこから来るか|売上が25%落ちると利益は39万→約17万円に(編集部逆算)
モデル値は「うまくいったとき」の数字です。下振れたときにどうなるかを、柿川亭の月商をモデル下限の120万円(-25%)に置いて逆算します。
| 項目 | 平均店(160万円) | 下限想定(120万円) |
|---|---|---|
| 売上 | 160万円 | 120万円(-25%) |
| 原価(35%維持) | 56万円 | 42万円 |
| 人件費 | 30万円 | 28万円(すぐには減らせない) |
| 家賃 | 10万円 | 10万円(変わらない) |
| 水道光熱費 | 6万円 | 5万円 |
| ロイヤリティ | 12万円 | 10.8万円 |
| その他経費 | 7万円 | 7万円 |
| 営業利益 | 39万円 | 約17万円(-56%) |
(編集部逆算。人件費・水光熱の減り方は仮置きです)
売上が25%落ちると、利益は56%消えます。 家賃と席数分のロイヤリティが減らないからです。本部公表の「月14万円〜」という下限は、この逆算とほぼ一致します。つまりモデルの下限値は、決して脅しの数字ではありません。
そしてロイヤリティの重さに注目してください。売上に対する比率が7.5%から9.0%に上がっています。売れない月ほど重くなる、という性質です。理由は次章で説明します。
業態固有の落とし穴|原価率21%のテルマエが、32.7%のむにより利益率が低い理由
「原価率が低い業態のほうが儲かる」と思いがちですが、飲食FCの実データではそう単純になりません。
| 大衆酒泉テルマエ | 大衆酒場 むに | |
|---|---|---|
| 平均店の月商 | 829万円 | 1,224万円 |
| 原価 | 174万円(21.0%) | 400万円(32.7%) |
| 粗利益 | 655万円 | 824万円 |
| 粗利から利益までに消える額 | 500万円(売上の60.3%) | 555万円(売上の45.3%) |
| オーナー利益 | 155万円(18.7%) | 269万円(22.0%) |
原価率はテルマエのほうが11.7ポイントも低いのに、利益率は3.3ポイント低い。理由は平均店の月商がモデルレンジのどこにいるかです。
- テルマエのモデル月商は600万〜1,200万円。平均店829万円はレンジの下寄り
- むにのモデル月商は1,200万円。平均店1,224万円はモデル通り
家賃・人件費・減価償却は、月商が下がっても同じだけ出ていきます。だから月商がモデルに届かないと、原価率の良さは固定費に食われます。逆に柿川亭は原価率35.0%と高めですが、家賃10万円・人件費30万円という固定費の絶対額が小さい小箱なので、利益率24.4%を確保できています。
読み方をまとめると、こうです。
- 原価率だけで業態を選ばない。見るのは平均店の月商がモデル月商の何%か
- モデル月商の「レンジ」が広い本部は、下限に近い店が一定数あると考える
- 大箱ほど、月商未達のダメージが大きい
謎解きカフェの原価約15%・利益率40.1%も、同じ視点で読む必要があります。この数字は「カフェだから出る」のではなく、主力商品が謎解きという腐らない売り物だから出る数字です。普通のカフェの原価率は3割前後が目安です。その差はカフェのフランチャイズは儲かる?で詳しく分けています。
ロイヤリティの方式が3タイプある|席数課金は「暇な月」に重い
飲食FCのロイヤリティ(本部に毎月払うお金)には、大きく3タイプあります。この違いが、下振れたときの生き残りやすさを決めます。
A:売上連動型(むに=売上の5%、テルマエ=売上の3%) 売れない月は安くなる。むにの平均店なら月61.2万円、テルマエなら月24.9万円です(編集部逆算)。売上が半分になればロイヤリティも半分。下振れに強い方式です。
B:席数固定+売上連動のハイブリッド(柿川亭=席数×4,000円+売上の3%) 平均店のロイヤリティ12万円の内訳は、売上分4.8万円と席数分7.2万円(=18席相当)と逆算できます。席数分の7.2万円は、売上がゼロでも発生します。
C:席数固定+システム費+従量(謎解きカフェ=席数×3,000円+システム費3万円+キット700円/組) 地方都市の30坪44席モデルなら、44席×3,000円+3万円=月16.2万円が売上に関係なく固定です。
ここから出る実務的な結論は1つです。B・Cタイプの契約では、席を増やす改装が毎月のコストを増やします。 そして契約前に必ず確認すべきなのが「席数の数え方」です。カウンター席は1席か、テラスや立ち席は含むのか。この定義だけで毎月数万円変わります。
年収から引かれるもの|返済・税金・自分の人件費(編集部逆算)
冒頭の「年収換算」はあくまで返済前・税前です。ここに3つの引き算を入れます。柿川亭の平均店(月39万円)を例にします。
引き算1:借入の返済 初期費用780万円のうち500万円を日本政策金融公庫などから7年(84回)で借りると、元金だけで月約6.0万円(編集部逆算・金利は別)。39万円−6.0万円=33万円。
引き算2:税金と社会保険 ここから国民健康保険・国民年金・所得税・住民税が出ます。家族構成や経費の計上で大きく変わるため断定はできませんが、ざっくり2〜3割を見込むと手元は月23万〜26万円、年276万〜312万円という水準感になります(編集部逆算・概算。実際の税額は税理士に確認してください)。
引き算3:自分の人件費 これが最も見落とされます。表の「自分の人件費の扱い」が全ブランド本部未公表であることに気づいてください。柿川亭の人件費30万円がアルバイトだけの金額なら、オーナーは無給で現場に立って39万円を得ていることになります。つまりこの39万円には自分の労働の対価が含まれている。店長を雇って月25万〜30万円払えば、利益はほぼ残りません。
同じことがむにの269万円にも言えます。月商1,224万円の居酒屋をオーナー1人で見ることはできません。269万円は「店長・スタッフを雇った後に残る額」なのか、「オーナーが店長を兼ねた前提の額」なのか。 この1問を面談で必ず聞いてください。答えで数字の意味が変わります。
地方で開業するなら|家賃と営業日数の2つで数字が動く
飲食店は全国に49万9,193事業所あり、97の産業分類のなかで最も数が多い業種です(全事業所の9.4%/出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和3年経済センサス-活動調査」を加工して作成)。競合は多い。それでも地方在住者にとって有利な点が2つあります。
1つめは家賃です。 前述のとおり、柿川亭モデルで家賃が10万円か20万円かで利益は39万円か29万円に変わります。売上を10万円増やすのは難しいけれど、家賃10万円安い物件を選ぶのは物件探しの段階で決められます。
2つめは、地方のほうが利益率が高くなるモデルが実在することです。 謎解きカフェの本部資料では、東京の全日運営が月商198万円・利益63.8万円(32.2%)、地方都市の全日運営が月商173.2万円・利益69.5万円(40.1%)。月商は24.8万円低いのに、利益は5.7万円高い。 家賃と人件費の差がそのまま出ています。
一方で、地方で気をつける点も具体的です。柿川亭の推奨立地は「大学・高校など学校近隣、駅から徒歩10分圏内」。客単価950円で月1,750人を集めるには、その商圏に学生や若い働き手が実在するかが先です。人口の総数ではなく、昼間にその通りを歩く人の数を見てください。
自己資金が限られる場合は、謎解きカフェの週末運営(初期費用330万円・逆算で投資100万円あたり月12.7万円)のように、土日だけで始めて手応えを見てから全日に切り替える入り方もあります。
まとめ|契約前に本部へ聞く6項目
業態別の年収差は、3つの数字(投資額・原価率・ロイヤリティ方式)と、モデル月商への到達度で説明できます。そのうえで、契約前に確認したいのは次の6つです。
- モデル利益に、オーナー自身の給料は人件費として入っているか(全ブランド未公表。口頭で確認)
- 回収目安は月商いくらの前提か。実際の平均店の月商はいくらか(柿川亭は本部1年〜1年半に対し、平均店からの逆算は約20ヶ月)
- ロイヤリティの席数の数え方(カウンター・テラス・立ち席は含むか)
- 初期費用に運転資金と物件取得費は含まれるか(むには総額1,630万円のうち公表内訳が1,150万円分、テルマエは1,926万円のうち960万円分。残りの中身は要確認)
- 契約期間と更新条件(柿川亭は契約期間3年)
- 平均店と上位店の差、そして過去に閉店した店の数
数字はすべて本部公表値であり、時期によって変わります。最新情報は必ず各公式サイトで確認してください。
そのうえで「自分の候補地の家賃と自己資金を入れたら、この表はどうなるのか」を整理したい方は、無料LINE相談から気軽に投げてください(相談は無料・しつこい勧誘はありません)。掲載中の条件を先に自分で見比べたい方は、フランチャイズ一覧から業態別に確認できます。
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